刑務所などで働く医師「矯正医官」の人手不足が深刻化し、とくに若い世代の矯正医官は不足している。施設によっては常勤医師がいない所もあり、法務省は民間病院との兼業を可能にする特例法案の方針を固めた。
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刑務所や少年院などの矯正施設で常勤する矯正医官は、全国158の施設で定員計327人に対し、欠員は23%を占める。施設では受刑者の高齢化や生活習慣病の増加、疾患の複雑化などから医療機関に搬送することも増えている。しかし職員の負担も大きく、法務省では、矯正医療の崩壊につながりかねないとして危惧している。
昨年1月には、法務省の有識者検討会が給与の増額や採用時の年齢上限の引き上げなどをまとめて待遇改善案を提出している。給与が民間病院よりも低いことや、様々な経験や技術を磨くことの出来る民間病院に比べ、矯正医官は施設内での症例に限られてしまうことも若い世代のなり手がいないことの要因と考えられる。今回の特例法案は、今国会に提出し、夏にも開始させたい意向だという。