神戸大学は、手術での止血などに用いられる、溶ける医療用クリップを開発したことを発表した。すでにマウスなどで安全性は確認しており、2〜3年後の実用化を目指している。
(参照:長崎大学 エボラ出血熱の判定時間を20分に短縮)
Kobe University by kimubert
医療用クリップは、内視鏡を用いた腹腔鏡下手術などで、止血などに使用されることがある。大きさは5ミリ前後で、手術によっては40個近く使用することもある。クリップによる止血は、高周波やレーザーなど熱を用いることもなく、比較的安全性の高い方法とされている。従来はチタン性のクリップを使用していたが、体内に残ることにより別の病気を引き起こすリスクがあった。
神戸大学は、体内の水で溶けやすいことや安全性の面からマグネシウムに着目。クリップの役割としてカルシウムや亜鉛を混ぜることにより締め付け能力のあるクリップを開発した。すでにマウスの実験で安全性を確認しており、クリップ使用後1年以内にすべて無くなるという。2〜3年後の実用化を目指し、現在、同大学工学研究科と医学研究科の連携研究で特許を出願している。工学研究科の向井敏司教授は「実用化されれば大きな貢献になる」と話している。