母親の胎内にいるときにDDTという成分に曝露した女性は、乳がん発症リスクが高くなることがわかった。調査では4倍近いリスクがあることがわかり、6月16日に「Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism」に掲載された。
(参照:乳がん再発に骨髄中の特定物質が関与)
Photo:Pesticide By Jacques Zammit
今回の乳がんとDDTとの関係性についての研究は、カリフォルニア州乳がん研究プログラム(CBCRP)および米国立衛生研究所(NIH)の支援により実施されたものである。DDTは、農薬、殺虫剤に使用される成分であり、10年ほど前には一部の国でマラリア駆除に推奨されていた。しかし、発がん性があることもわかっており、日本など一部の国では製造や使用は禁止されている。
今回の調査で、母親の胎内にいるときにDDTという成分に曝露した女性は、乳がんにかかるリスクが4倍近くあるという。DDTの成分がエストロゲンのような作用をすることで、ホルモンバランスを崩している可能性が考えられている。作用までは明確になっていないが、母親のDDTの血中濃度が大きく関わっていることは分かっている。