医師は非常にストレスフルな職業の1つです。
常に患者さんのことを第一に考え、緊張感に包まれながら働く生活の中では、大きなストレスを抱えてしまうことも多いでしょう。
実際に、オーストラリアのとある機関が行った調査でも医師はほかの職種の人に比べて心理的ストレスに悩まされることが多いということがわかりました。
さらに、その中でも女性医師はより強いストレスに晒されるリスクが高いという結果も。
その背景とは一体どのようなものなのでしょうか? 掘り下げていきましょう。
医師のストレス人口は他職業よりもかなり高い!
オーストラリアのメンタルヘルスグループ「ビヨンドブルー」は、14000人の医師および医学生に精神的ストレスにまつわる調査を行いました。
その結果、5人に1人の医学生、10人に1人の医師がかなり重度の精神的ストレスを抱えているということがわかりました。
これは医師全体の4%に上ります。
数値としては少なく感じるかもしれませんが、この値はほかの職業人口に比べてかなり高いものといえます。
さらに、ビヨンドブルーは女性医師がもっとも精神障害にかかりやすいといった調査結果も発表しています。
女医さんのストレスリスクが高い理由
オーストラリアメディカル教会の前会長でビヨンドブルーのアドバイザーであるムケッシュ・ハイケーワル医師によると、現在でも比較的「男社会」のようなものである医学業界では研修中の時期からいじめなどが起きることがあり、それらが女性医師の大きな精神的ストレスに繋がっているのだということです。
ただでさえ女性には妊娠・出産など、生活が大きく変わる機会が多くあります。
現在では産休・職場復帰などに寛容な職場も増加してはいますが、やはり多忙な医療の世界では1人の休職がほかのメンバーに大きな負担となって現れるもの。
女性同士であれば理解も深まるものですが、男性が多ければ多いほど理解を示してもらえないことも増えるのです。
実際、女医さんの多くが産休・育休を取るというと「これ以上仕事を増やさないでほしい」というような雰囲気を感じることがあると話します。
さらに、女性同士でも人間関係上のストレスは大きく作用します。
同じ医療従事者でありながら微妙に立場の違う看護師さんとの間にちょっとした緊張感が生まれることなども多いですよね。
ストレスフルな医療の世界の中でも、業務と関係のない部分での精神的ストレスが特に多いのが女性医師といえるのです。
女医さんが健康に活躍するためには「頑張り過ぎない」ことが大切
強いストレスに悩まされることの多い女医さんですが、その多くがストレスを抱えていることを認めたくないと考えているようです。
真面目なお医者さんだからこその意識の高さが、「こんなことでへこたれてはいられない」とより緊張した精神状態を作り出してしまうようです。
しかし、日々命と向き合う仕事だからこそ、自分の心の健康を一番に大切にすべきなのではないでしょうか。
医師である前に女性として生きていく限り、さまざまな問題を避けて通ることはできません。
家庭を持つ、出産をするなどのいざという時に支えになってくれる仲間やサポートしてくれる制度が存在する、本当に自分に合った職場を選ぶことがもっとも重要になるのです。
さらに、日頃からガマンしすぎずに、自分だけの時間を大切にすることが必要です。
休みの日には思い切り趣味に没頭する、同じ苦労を持つ友達と話すなど、適度なストレス発散をするようにしましょう。
毎日患者さんのために頑張っている女医さんだからこそ、「頑張り過ぎない」ことがもっとも大切なのですよ。