男女共同参画社会が叫ばれて久しい昨今ですが、女性医師の待遇についてはいまだ「不十分」といわれることが多いのが現状です。
厳しい医療の現場で働く女性医師について、男性医師はどのように思っているのでしょうか?
労働環境や配偶者としての女性医師など、さまざまな側面から考察します。
女性医師の支援 男性の目にも不十分
院内保育やチーム医療など、家事や育児と仕事を両立させる女性医師への支援は昨今医療の世界で拡大しつつあります。
しかし、それでもまだ不十分だという意見が大多数を占めているのが事実です。
平成26年に発表された日本医師会の調査によると、男性医師全体の57.5%が女性医師への支援を「不十分である」「やや不十分である」と答えています。
さらに、インターネットでの調査では「女性は医師として働いていく上で不利か否か」という質問に「不利ではない」と答える割合が女性医師の約5割に上る中、男性医師では約3割に留まるといった結果が出ています。
女性医師と一緒に働く男性医師の目には、女性医師本人以上にその労働環境の苛酷さが強く映っているようです。
しかし、その一方で女性医師への支援を「男性医師にとっては不公平」と捉える層も一定数存在します。
育児中の女性医師のしわ寄せ(育休による長期の休暇や子どもの急病による急な早退など)を男性医師が負担と感じることもあるようです。
男性医師「育児参加」への意識はまだまだ低い?
自身の家庭での育児については、ご紹介した日本医師会での調査によれば男性医師の21.0%が「十分していると思う」と回答しているようです。
しかし一方で、育児休暇を取得した男性医師は全体のわずか2.6%に留まるといった結果が同調査では発表されています。
育児休暇の取得について、多くの男性医師から「考えたこともなかった」との意見が見られる点から、育児参加への意識がまだまだ低いという事実が垣間見えますね。
しかしそんな男性医師の中でも「育児休暇の希望はあったが職場に言い出せなかった」という割合が14.0%に上っているといった調査結果も、同調査で報告されています。
「家庭と仕事」両立の難しさ 分かり合えるのはやっぱり医師同士
男性医師の多くが「家事や育児に十分協力していると思う」と答えながらも、育児休暇を取得してはいないということはすでにお話しましたね。
しかし、仕事の比重が重く家庭に関われない状態にある男性医師の多くが専業主婦の配偶者を持っているといった結果も同調査では発表されています。
また、女性医師への支援を「不十分」だと感じている男性医師の多くは、同じく医師という職業についている配偶者を有しているといった事実もあるそうです。
配偶者が自分と同じ厳しい現場で働いている場合、その忙しさを日常的に肌で感じることになるため、女性医師への支援がまだまだ足りないということを実感しやすいのでしょう。
家庭と仕事の両立の難しさを分かり合えるのは、やはり医師同士のカップルであることが多いようです。
女性医師が働く環境は、男性の目から見てもまだまだ心配事が多いようです。
しかし、その分男性医師の間でも女性医師の医療現場参画に対して高い関心が広まっているとも考えられます。
男女ともが仕事と家庭を両立させられるような医療現場の実現にとってもっとも大切なのは、医師ひとりひとりがお互いの置かれた環境を理解し合うことです。
また、男女関係なく至らない部分を補い合いながら働くことを当たり前だと考える意識を持つことも必要なのかもしれません。