2003年以降、東南アジアを中心とした地域で流行している鳥インフルエンザ。
2004年には、WHO(世界保健機関)・FAO(国際連合食糧農業機関)・OIE(国際獣疫事務局)の三機関が合同で「鳥インフルエンザが人の健康への脅威と畜産業への大被害に繋がる」と警告する声明を発表しました。声明の内容は、「鳥インフルエンザは、人間にとって危険な病原体の人インフルエンザウイルスに変異する可能性がある」と指摘するもの。
現在、日本国内で鳥インフルエンザを発症した人は確認されていませんが、決して安心することはできません。
近隣で鳥インフルエンザが発生した際は、一体どのような対応を行えば良いのでしょうか。
鳥インフルエンザの発生状況
鳥インフルエンザは、鳥がA型インフルエンザウイルスに感染することで起こる病気です。
鳥に感染するインフルエンザウイルスは、家畜伝染病予防法で「高病原性鳥インフルエンザウイルス」「低病原性鳥インフルエンザウイルス」などに区別されており、これらをまとめて「鳥インフルエンザウイルス」と呼んでいます。
近年の日本国内での発生状況は、昨年11月末に青森県で家禽への感染が確認されたのをきっかけに、各地で相次いで家禽や野鳥等への感染が確認されているという状況です。
農林水産省が発表している「国内における高病原性鳥インフルエンザの発生・検出状況(平成28年11月以降)」によると、平成29年2月21日時点で、家禽の感染が7道県10事例、野鳥等の感染が21都道府県213事例確認されています。
人への感染と鳥インフルエンザ発生時の対応
一般的に、鳥インフルエンザウイルスが人に感染したり、人から人へ感染したりすることはほとんどないとされています。
万が一発症した場合、型によって違いはありますが、突然の高熱や鼻・歯茎からの出血、咳、下痢などの症状を引き起こします。また、比較的進行が早く、重篤な場合は臓器に異常をきたして死に至る場合も。
感染の恐れがあるのは、鳥インフルエンザを発症した鳥やその死骸と濃厚な接触があった人、鳥インフルエンザに感染した患者と長期に渡る接触があった人など。
近隣で鳥インフルエンザが発生した場合、10日以内に鳥インフルエンザに感染した鳥との接触歴があり、尚且つ38℃以上の発熱や呼吸器症状が見られる患者は鳥インフルエンザの可能性を疑う必要があります。
速やかにマスクを着用させ、別室に誘導するなどして他の患者との接触を減らしましょう。
医師や看護師などのスタッフは念のためマスクやゴーグル、手袋などを着用し、速やかに臨床検体検査を行ってください。
現在、人に感染した場合の効果が期待されている治療方法はノイラミニダーゼ阻害薬の投与です。なるべく早期に投与することで、ある程度の有効性が得られると考えられています。
日本での発症例はないとはいえ、世界各国で多数の鳥インフルエンザウイルスによる死亡者が出ていることは事実です。
万が一の場合に備えて、国立感染症研究所や日本感染症学会が公開している情報を参考に鳥インフルエンザが発生した場合の対応をしっかりと確認しておきましょう。