一般的ながん治療法といえば、「放射線治療」「外科治療」「化学療法」の3つが三大療法といわれていますが、これに加えて「免疫細胞療法」という新たな治療法が注目されています。
免疫細胞療法とは、1980年代にアメリカで始まったもので、がん免疫療法の1つ。
当時はがんに対しての有効性が見られないといわれていましたが、1990年代に突入すると免疫細胞ががんに効果を発揮することが証明され一躍注目を浴び、医療の現場に取り入れられるようになったのです。
そして、最近ではさらにこの免疫細胞療法が進化し、新しいがん治療法として大注目されています。この免疫細胞療法がこれからのがん治療にどんな影響をもたらし、どんなメリットがあるのかを見ていきましょう。
免疫細胞療法とはどんなもの?
一般的ながん三大療法は、放射線や手術、抗がん剤などで外部からがんを治療していくというものですが、免疫細胞療法は体の中にもともとある免疫細胞を使ってがんと戦っていくという治療法です。患者本人の体から血中の免疫細胞を取り出し、培養や強化のために手を加え、活性化させた状態で再び体内へと戻します。
放射線や手術のようにピンポイントでがん細胞に働きかけるのではなく、部位を特定せずに全身に対して効果を発揮することが期待されているのも特徴の1つです。人によって効果に差はありますが、早期のうちに取り入れることでより高い効果が期待でき、長期間にわたって効果が持続するともいわれています。
副作用が少ない? 免疫細胞療法のメリットとは?
免疫細胞療法は、患者本人の免疫細胞を使って行われるため、他の治療法と比べても大きな副作用がないというのがメリットです。
また、放射線や外科手術、化学療法などの三大療法と合わせて使うことができるというのも免疫細胞療法の大きなメリットで、従来の治療と同時進行で進めることができます。
そのため、従来の三大療法の効果をより高め、手術後や放射線治療後に残った小さながん細胞を退治するのにも役立つと期待されているのです。
さらに、化学治療で抗がん剤を投与し、がん細胞を衰弱させた際にも免疫細胞療法が活躍してくれるといわれているため、三大療法と上手く組み合わせて活用していくのが一般的です。
1人1人の患者に合わせた方法を見極めることが大切
大きな期待をされている免疫細胞療法ですが、使う細胞によっては治療法も異なります。
とくに多く行われているのは、「活性化自己リンパ球療法」で、この中にも「アルファ・ベータT細胞療法」や「ガンマ・デルタT細胞療法」「NK細胞療法」などの種類があります。
また、この他にも「樹状細胞ワクチン療法」という方法もありますが、どの治療法が優れているのかということではなく、患者にはどの治療法が合っているのかということを重視することが大切です。患者の免疫細胞やがん細胞の状態をしっかりと検査し、治療法の新旧に関わらず、その人にとって最適な治療法を見つけ出すことが重要なのです。
医療現場で注目を集める免疫細胞療法ですが、今でもその研究はどんどんと進められ、治療法の種類は増えています。いつか三大がん治療法と肩を並べる日がやって来るかもしれませんね。