医師の仕事は、患者さんの病気やケガを直すだけではありません。不安でいっぱいの患者さんやご家族とのコミュニケーションも重要な業務の1つです。
とくに、症状が重い患者さんとの接し方や話し方などは難しいものがありますが、言葉の選び方や話し方に工夫をすることで、患者さんとの関係を向上することができます。クレームや苦情などを避けるためにも、医師としてふさわしい話し方について学んでおきましょう。
患者さんに対して“大切に”“丁寧に”接するよう心掛けて
患者さんとの仲を深めて信頼関係を築いていくためには、医師側から歩み寄っていくことが大切です。フレンドリーに明るく話したり接することで、患者さんも不安な胸の内を打ち明けやすくなります。
しかし、いくらフレンドリーに接するためだといっても、「敬語」を取り払ってしまうのはいけません。患者さんとの心の距離を近くすることは大切ですが、正しい敬語は必要不可欠です。
多くの患者さんは医師に対して“大切に扱ってほしい”“丁寧な説明をしてほしい”と思っています。患者さんの人格を尊重し、丁寧な日本語で会話を進めていくように心掛けましょう。
患者さんやご家族が分かりやすいよう“話しの道筋”を立てる
病気や治療法の説明をするときには、患者さんやご家族がきちんと理解できるように、簡単な言葉を使って話すことも大切なポイントです。
まずは、今から何を説明するのかということを話の頭に持ってくることを意識しましょう。
「これから○○についてご説明します」というように、分かりやすく話の内容に題名をつけると、患者さんやご家族も話の理解がしやすくなるのです。
また、これと合わせて取り入れたいのが、結論を先に出してしまうという方法です。
「状態は○○です」「検査の結果は○○でした」と簡潔に結論を先出しすることで、その後の説明もしやすく、患者さんやご家族もよく話を聞いてくれるようになります。
患者さんの目を見て“話し合う”という意識を
無意識のうちに、パソコンやカルテに目線を落として話してしまうという医師も多いですが、このような態度を取ってしまうと患者さんやご家族の不満感にもつながります。
何かをしながら話すという行為は、片手間で対応しているというようにも捉えることができ、不安や心配を抱く患者さんにとって気持ちの良いものではありません。
説明や伝達をするときには、一度手を止めて患者さんの目を見ながら話すことが大切です。そうすることで、患者さんやご家族のほうからも質問などをしやすい環境を作ることができ“話し合っている”という印象を与えることができます。
医師は、どうしても病気やケガなどの中身ばかりに目が向きがちですが、それ以前に患者さんやそのご家族との、人とのつながりがあることを常に考えておかなければなりません。
医師の話し方1つで、患者さんやご家族の心は左右してしまうのです。
とくに余命などの重大な告知があるときには、医師個人のコミュニケーション力が問われます。患者さんやご家族の不安を考え、関係を上手く築いていけるように日頃から話し方を意識しておきましょう。