食物アレルギーの子どもを持つ母親にとって、毎日の食事は大きな悩みにつながることでしょう。
家庭での食事作りはもちろん、外食に行ったときのメニュー選びには大変苦労しますよね。
このような日常シーンでも、食物アレルギーへの対応には身を削られますが、もし地震や津波などの災害が起きてしまった場合には、さらに大きな問題へとつながります。
具体的にはどんな問題があり、それを避けるためには一体どのような対応をしたらいいのか、事前に学んでおきましょう。
食物アレルギー対応食品などの備蓄を行っているのは半数以下!
(出典:消費者庁「食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業」 平成23年 即時型食物アレルギー全国モニタリング調査結果報告)
日清オイリオグループが、2016年12月27日~2017年1月5日に行った、全国の食物アレルギー疾患と診断されている離乳食期の乳幼児をもつ母親に対してのアンケート調査で、「有事に備えて食物アレルギー対応食品などの備蓄を行っていますか?」という質問をしたところ、57%という半数以上の母親が「いいえ」と回答しました。
災害は、いつどこでやってくるか分からないからこそ恐ろしいものですが、だからこそ「まだ準備はしておかなくても大丈夫」という油断が生まれてしまうのかもしれません。
避難所生活では安心して食べられる食品が得られない!?
食物アレルギーの子どもを持つ保護者へ行った東日本大震災以降に実施された調査では、全体の50%(117例中59例)の方が、「食物アレルギー対策用の食品や、アレルゲンが含まれない食品の確保が大変だった」と答えています。
(出典:東日本大震災におけるアレルギー児の保護者へのアンケート調査)
避難所での生活では送られてくる支援物資によって暮らし、炊き出しを食べるのが一般的ですが、これは食物アレルギーに対応しているものではありません。
支援物資として送られてくるものは、卵や牛乳、小麦などが含まれるパンやカップラーメン、レトルトカレーなどが主流です。
外袋が外されて小分けになっているお菓子や細かな記載のない缶詰は、たとえ食べられる可能性が高いものであっても、原材料を確認することができないために口にすることはできないのです。
このように、避難所生活では食物アレルギーの人にとってとても厳しいもの。
食べ物自体は手元にあるのに、それを実際に食べられないというのは大きなストレスにつながるでしょう。
子どもの行動にも目を離さずに!
食物アレルギーの子どもが避難所生活を強いられ、満足に安心できる食事ができずにいると、保護者の目を隠れてアレルゲンの入ったお菓子などに手を伸ばしてしまうこともあります。
また、食物アレルギーの子どもだけで避難所に待機しなければならない場合、周りの大人が食物アレルギーのことを知らずに、アレルゲンを含む食材を与えてしまうかもしれません。
このように誤ってアレルギー食材を口にすれば、最悪の場合死に至ることもあります。
子どもを守るためにも、日頃からアレルギーのことが分かるようなカードなどを携帯しておき、万が一避難所にいるときなどは極力目を離さずにいることが大切です。
災害時には、運ばれてくる支援物資や、炊き出しに食物アレルギー対応用の食事を用意してもらうのは難しいもの。とくに、災害発生から数日間は尚更です。
そこで大切になるのが、普段からのアレルギー対応の食品を備蓄しておくこと。
缶詰やレトルトものなどを幅広く揃えておくことで、食物アレルギーでも安心して食事をとることができます。
多くの方が見逃しているところですが、きちんと備蓄をしておきましょう。