「介護離職」という言葉があるように、医師でも介護のために離職、または常勤から非常勤へ雇用形態を変える方が増えています。
介護のために病院を変える医師が多いため、女性医局を利用する先生は少なくありません。
そんな介護をしながら医師として働く女性医師にとって、大きな悩みとなるのは「介護食作り」ではないでしょうか。
出した食事が喉につかえてしまったり、噛み切れなかったりすると、取り返しのつかない事態を招くこともあります。
このことからも、多くの方が悩む介護食作りですが、具体的には一体どのくらいの方が同じような悩みを持っているのでしょうか。
そこで今回は、日清オイリオグループが行ったインターネット調査アンケート「介護食作りに関する実態調査」をもとに、在宅介護をする人々が持つ介護食作りへの不安や、介護食作り時に気をつけるべきことなどをご紹介いたします。
要介護者への食事の提供に不安を持ったことのある人の割合は?
(日清オイリオグループ 第11回在宅介護事情調査【図3】引用)
要介護者への介護食作りを大変だと思っている人を対象に、「噛むことや飲み込むことに対応した食事の提供ができているのか不安になることがありますか?」という質問をしたところ、71%の人々が「ある」と回答しました。
加齢に伴い、咀嚼力や飲み込む力は衰えていくため、介護が必要になった人々にとって食べ物を噛むことや飲み込むことは、時に負担になることがあります。
食べ物が喉に詰まると、最悪の場合窒息死に至ることもあるため、介護者側にとって食事の提供は大きな不安が伴うでしょう。
このような介護食の提供の不安を解消するためには、毎日の介護食作りに工夫や注意をするとともに、専門家へ相談が解決への近道となります。
介護食の提供に関する知識を専門家に相談した介護者は、一体どのくらいいるのでしょうか。
介護食の提供に関して専門家に指導を受けた人の割合は?
(日清オイリオグループ 第11回在宅介護事情調査【図4】引用)
「どのような食事を提供したらよいのか専門家に指導を受けたことはありますか?」という質問に対し、「はい」と答えた方は35%、「いいえ」と回答した方は65%という結果になりました。
介護食作りに対して不安を感じている人が多いのに対し、専門家からの指導を受けたことがある人々の割合はとても低いことが分かりました。
日本歯科大学教授 口腔リハビリテーション多摩クリニック院長の、菊谷 武(きくたに たけし)先生によると、現在では訪問医療制度によって、さまざまな分野の専門家による在宅介護のサポートがあるといいます。
この訪問医療制度では、専門家によって要介護者の噛む力や飲み込む力のチェックや、その結果に伴った理想的な食事の形態や栄養面のアドバイスが受けられます。在宅介護での介護食作りに不安を持っている方は、このような制度を積極的に利用するというのも1つの方法です。
要介護者への介護食作りでの気をつけるべきこととは?
介護食を作るときには、要介護者がより食べやすくなるよう考えることが大切です。
噛みやすくするためにも食材をすべて一口サイズに切る、肉などは叩いたり切り目を入れたりする、野菜などはじっくりと煮込んで柔らかくするなどの工夫を取り入れましょう。
噛む力が大きく衰えている場合には、歯を使わなくても口の中で潰せるくらいに柔らかいものを与えることが大切です。
ミキサーや裏ごしなどを取り入れて、食事をペースト状にするという方法もあります。
また、飲み込みをサポートさせるためにも、市販のとろみ調整食品を使用し、食事にとろみをつけてあげるのもおすすめです。
要介護者への介護食作りは、時として不安を感じることもありますが、専門家のサポートを利用したり、料理に工夫をしたりすることで負担を軽くすることができます。
要介護者にとって日々の食事は、生きるために必要不可欠なものであり、毎日の楽しみでもあります。
調理法はもちろんですが、栄養面にも気をつけるようにし、安全でおいしい介護食作りを心掛けましょう。