子どもが食物アレルギーと診断された場合、食品の購入や食事を作る際には注意が欠かせません。子どもと一緒に食事をとる自宅ではアレルギー対策をすることができるものの、保育所や学校ではどのような対策が行われているのかと不安に思う方も多いでしょう。
食物アレルギーの子どもに対して注意すべき点はいくつかありますが、中でも「誤食」は命に関わることがあるトラブルです。
そこで今回、女性医局のコラムでは「学校や保育所での誤食」についてご紹介します。
日清オイリオグループ株式会社が行った「第3回食物アレルギーに関する実態調査」のアンケートをもとに、学校や保育所での「誤食」の実態について見ていきましょう。
施設における食物アレルギー対応の基本方針
(日清オイリオグループ 第3回食物アレルギーに関する実態調査【図1】)
日清オイリオグループは、2012年度より食育活動の一環として食物アレルギーに関する実態調査を実施しています。
学校・保育所などの給食に従事し、食物アレルギー対応を行っている栄養士・管理栄養士103名を対象に調査が行われました。
食物アレルギー対応の基本方針について聞いたところ、「代替食対応(16.5%)」「除去食対応(33.0%)」という結果に。約半数が食物アレルギーに対応した食品を提供していることが分かります。
食物アレルギーを考慮した献立づくりへの取り組み
(日清オイリオグループ 第3回食物アレルギーに関する実態調査【図7】)
食物アレルギーを持つ子どもは、周りの子どもたちと同じメニューを食べられないことがあります。
食物アレルギーを持つ子どもも含め、子どもたち全員が同じ給食が食べられるよう、なるべく食物アレルギーの原因になる食材を使わない献立づくりへの取り組みについて調査しました。
「すでに取り組んでいる(43.7%)」「今後、取り組む予定である(21.4%)」と約6割の保育所や学校で食物アレルギーを考えた献立づくりへの取り組みが行われていることが分かります。
食物アレルギーを持つ子どもが、周りの子どもたちと同じ給食を食べることができるとうれしいですね。
誤食につながる問題の発生
(日清オイリオグループ 第3回食物アレルギーに関する実態調査【図2】)
アンケート当時、従事している施設に誤食につながる問題(ヒヤリ・ハット)の発生があったか聞いたところ、61.2%が「ある」と回答しました。
「先生から子どもたちへ給食を配る際に食物アレルギーを持つ子どもにアレルゲンを含む食品を配膳しそうになった」
「園児同士がおやつを交換していたが、担任が気づき誤食を防ぐことができた」
このようなヒヤリ・ハットした体験が挙げられました。
また、学校や保育所内での誤食につながるトラブル以外にも、「給食の調理過程で原材料の混入」「調理器具を洗わずに使い回す」などが原因で誤食が発生しています。
確実に防ぐことは難しいですが、食物アレルギーは命に関わるものです。
食物アレルギーの子どもたちの誤食を発生させないよう、給食を作る側、保育所・学校側両方の注意が必要であるといえます。
食物アレルギーの子どもを持つ母親として、保育所や学校で同じ給食が食べられるよう取り組みがなされていることはとてもうれしいことです。しかし、対策をしていてもごくわずかな注意不足で誤食が生まれてしまう可能性があります。子どもが通う保育所・学校では、献立作りにどのような取り組みがされているのか確認してみましょう。