病院には国や公的機関が運営する公立病院と、個人や法人が運営する民間病院の2種類があります。病院全体の7割は民間病院、3割が公的病院という内訳になっていますが、この2つには運営者以外の違いもたくさんあります。
転職先の検討のために、公的病院の特徴を知っておきましょう。
公的病院の運営母体は公的機関
公的病院は自治体または厚労省が開設する医療機関のことで、都道府県や市町村、独立行政法人、国公立大学法人、赤十字病院などがあります。地域の高度医療を担当することが多いため高額な医療機器や大規模な病棟を設置することが多く、診療科も細分化されているのが特徴です。
地域医療を担っていることも多く、医師の年齢やキャリアに応じて、遠隔地にある系列の病院への異動もあります。公的病院の中でも国や自治体が運営している病院では、女性医師も公務員扱いとなります。
公的病院の給与は民間より低いが待遇が手厚い
公的病院は民間病院と違い、収益を出すことを第一の目的としていないので診察する患者数は民間病院より少なく、収益も減るので給与も低めです。
一方、民間病院は税金による損失補填や援助を受けることができないため、公的病院の医師に比べ多くの患者を診察する傾向があります。そのぶん、給料も公的病院に比べ高めに設定されており、両者を比較すると、民間病院の平均給与額は1,544万円、公立病院は1,494万と約50万の差があります(2014年度厚労省の調査より)。
そのかわり、公的病院の医師は福利厚生が手厚く、時間外労働はもちろん、住宅手当や僻地手当といった手当てが充実しているのが特徴。公務員社宅も利用でき、退職後の年金も一般より多めです。また、運営が公的機関ということで経営が安定しているのも公的病院のメリットといえます。
公的病院では収益を第一に追求をしなくて良い
公的病院は過疎地や僻地での医療を守っていくため、採算が取れなくても医療を行っていく必要があり、そのために税金が投入されます。民間病院は収益を上げるため、病院によっては医師にノルマを課すところもありますが、公的病院では基本的に利益のみを追求する必要はありません。
収益を出すためには、患者をなるべく多く診察する必要があるので、民間病院では外来の診察者数11.2人に対して、公的病院は8.3人と少なめとなっています。(厚生労働省「平成27年度 病院経営管理指標 別冊」より)
そのため、患者一人一人に向き合って時間をかけて診察ができるのが、公的病院の特徴といえるでしょう。
公的病院の給与は民間病院に比べ低くなりますが、福利厚生や手当てが充実していること、運営母体が公的機関なので病院の経営自体が安定していること、収益の追及をしなくても良いという特徴があります。
女性医師が転職先を探す際は、こうした特徴を踏まえて病院を探すと良いでしょう。