現在、一般企業では育児・介護だけでなくさまざまな理由で時短勤務を希望する従業員に対し、勤務時間措置を取ることが義務付けられています。この制度は医師も利用できるので、「育児中でフルタイム勤務は難しいものの、仕事は続けたい!」という女性医師の強い味方になってくれます。
医師の育児短時間勤務制度がどんなものなのか、チェックしておきましょう。
育児短時間勤務制度とはどんな制度?
医師の育児短時間勤務制度とは、3歳未満の子どもを育てる正規職員の医師に勤務時間の短縮及び宿直、時間外勤務、待機勤務を免除するというもの。医師が育児のために、常勤の仕事を離れなくても良いように導入された制度です。
時短勤務が取得できる主な条件は以下の通りです。
「正規職員で所定の労働時間が6時間以下ではない」
「時短勤務制度を利用する期間に育児休業がない」
「1年以上雇用されている正規職員である」
育児短時間勤務制度が使える期間は子どもが1歳以上であること、利用期間は1か月以上1年以下となっていますが、必要に応じて延長を繰り返すことが可能です。また、育児中の時短勤務申請は正当な権利なので、雇用側は医師からの申請を断ることはできません。
ただし、短縮される時間や勤務日の設定などは、勤務先によって異なります。
育児短時間勤務制度を利用したい場合は、利用を考えている期間の1か月前までに育児短時間勤務承認請求書に必要書類を添付して勤務先に提出しますが、勤務先によって承認が必要になったり提出先が異なったりするので、就業規則を確認しておきましょう。
育児短時間勤務制度にはどんなメリットがある?
医師という職業柄、仕事から完全に離れてしまうと知識のアップデートや手技の勘が鈍るといったキャリアアップへの影響が懸念されますが、医師としてフルタイム勤務をこなしながら育児も行うのは肉体的にも精神的にも大きな負担となります。
時短勤務を利用すれば、仕事から完全に離れるわけではないので知識やスキルを維持しつつ、正規職員の身分も保障されるため将来への不安も抱えなくて済みます。また制度化されているので、時短勤務であることに後ろめたさを覚える必要もありません。
出産・育児というライフイベントでキャリアがストップしやすい女性医師にとって、時短勤務は自分のキャリアも維持できる上に、母親としての役割もきちんとこなすことができるというメリットがあります。
また病院にとっても優秀な人材を確保しておけるため、両者にメリットがある制度といえるでしょう。
育児短時間勤務制度にはこんな影響も
キャリアを途絶えさせることがなく、母親としての役割も果たせるようになる医師の育児短時間勤務制度ですが、一方で給与や社会保険料などに影響も出ます。
時給制など給与が労働時間に対する対価である場合は、時間を短縮したぶんだけ給与は減りますが、医師の雇用形態で多い年俸制の場合だと、成果次第では大きく影響しないこともあります。
収入が減少すれば支払う社会保険料も下がりますが、法に基づく時短勤務中は時短前と同額の社会保険料を払っていたとみなされます。ただし、勤務先独自の時短制度の場合は社会保険料が下がり、将来の年金支給額も減少します。
育児短時間勤務制度は勤務先によって内容が少しずつ異なりますが、フルタイム勤務は負担が大きいと考えている女性医師にとっては強い味方となってくれる制度です。
ママになっても正規職員として仕事を続けたい女性医師の場合は、ぜひ育児短時間勤務制度を活用しましょう。