転職や家庭の事情など、医師が病院を退職する機会はありますが、一筋縄ではいかないことが多いもの。
一般的な会社では、約1か月前に退職の意思を表示すればよいとされていますが、医師の場合はそのタイミングで退職の意思を表しても、希望通りに退職することが難しいことがよくあります。医師不足に悩む医療機関が多いため、強く引き留められる可能性が高いのです。
また、退職交渉のタイミングを誤ると「だから女医は……」といった暴言や、女性医師は辞めやすいという暴論をあびせてくる経営者も残念ながら中にはいます。
退職交渉をする際には、お互いが嫌な思いをすることがないように、しっかりとした退職の準備が必要です。
今回は、円満退職交渉を目指している女性医師に向けて、退職の意思表示をするタイミングや手順をご紹介いたします。
医師が退職交渉をスタートさせる時期はいつ頃?
避けておいたほうがよい時期
退職交渉をスムーズに行うためには、所属している医療機関の繁忙期以外のときを狙うことがポイントになります。
忙しくなるとわかっている時期に辞めたり引き継ぎを行ったりすると、同僚からもいい感情を持たれません。
また、繁忙期を避けて退職交渉を行う場合も、勤務のローテーションを把握して、自分が辞めた場合でも病院が問題なく通常業務が行えるかどうかを考えてから退職の意思を表明しましょう。
組織の規模によってスタート時期が異なる
退職の意思を伝える時期は、勤務している病院の規模で異なります。
例えば、大学病院で勤務している医師であれば、人事権を持っているトップに話があがっていくまで時間がかかります。
常勤の講師の先生達や准教授だけでなく、非常勤で勤務している先生であっても、早めに話をしておいたほうがよい立場の方がいます。
この過程を通ってようやく教授にも退職の希望を伝えることになりますので、時間のかかるケースでは教授との話し合いまで半年近くかかることもあります。
そのため、退職の時期から逆算して半年ほど前には、辞めようと考えていることを話し始めたほうがよいといえるでしょう。
中規模クラスの病院で勤務している場合は、退職の意思を伝える相手は大規模病院よりも少なくてすみます。
ですが、次の医師を獲得できる見込みが立つまで強く引き留められる可能性は高いので、退職しようと考えた場合はなるべく早めにその希望を伝えるようにしましょう。
医師が退職交渉を行う際の注意点とは?
転職先の内定が出る前に退職交渉をしよう
どんな規模の医療機関に勤務していても、転職先の内定が出る前に退職交渉をしましょう。
新しい勤務先が決まっていても強い引き留めにあったり、引き継ぎをする医師が決まらなかったりすると、辞めるに辞められないといった状態になってしまいます。
しかし、転職先の病院では、採用の際に勤務開始時期を想定していることが一般的です。
入職時期がすれると、転職先で気まずいスタートをきることになってしまいます。
医師の世界は狭い! 転職や復職の際の人間関係も考えたマナーが大切
女性医師は、転職ではなく出産や育児のために一度退職をする方も多いですが、その中には「いずれ医療現場に復職しよう」と考えている方も多いものです。
その際、辞めてから次に医療現場に戻るまで期間があくので、自分の辞めたい時期に辞めようと希望を押し通すと、次に現場に戻るときに気まずい思いをすることも少なくありません。
医師の世界は人間関係があちこちで繋がっているので、次に入職しようとする病院に以前の勤務先の先生が移動していることもよくある話です。
このことからも、退職交渉をするときにはスケジュールに余裕を持たせることが大切です。
立つ鳥跡を濁さずと昔からいうように、医師の世界こそ去り際は美しくスムーズであることが大切です。
退職交渉の期間に強い引き留めにあうことがわかっていても、病院側に負担をかけないような辞め方をしましょう。
自分が勤務している医療機関であれば、後任の医師が見つかるまでのおおよその期間は予測しやすいですよね。
後任の医師に引き継ぎが行える期間をしっかり逆算して、退職交渉を行いましょう。