結婚や出産、育児といったライフイベントによって働き方の変化を迎える女性医師は多いもの。出産をするにあたってはどうしてもキャリアが中断されるため、どれだけの期間休職すべきかと悩んでしまう女性医師もいると思います。
世の女性医師は、産休や育休をどの程度取得しているのでしょうか? ここでは医師の産休や育休の考え方や気をつけたいポイントについてご紹介いたします。
まずは産休と育休の決まりをチェック
産休については労働基準法第65条に定められています。これによると、産前は本人の希望で最大6週間、産後は必ず8週間の休業が必要です。ただし、本人が希望し医師が許可した場合には6週間で職場復帰することも可能です。
産休の終了後は、子どもが1歳になるまで育休という形で休暇を取得することができます。
女性医師は産休をどれくらい取得している?
医師専用コミュニティサイト「MedPeer」の調査によると、産休と育休を合わせて15週間以上取ったという女性医師は39%でした。その一方で、産休を8週間以下しか取得せず、かつ育休の取得はしなかったという女性医師の割合は27%にも及びました。
産休を8週間以下しか取得できなかった医師のほとんどは「産休が取りにくい職場だったため」と回答しています。産休は働く女性の権利ですが、医師が不足している医療機関は多く、代務医師を探すのも難しいというのが現実のようです。医療業界では、「医師の代わりはいないけれど、子育てをする人は代わりがいる」と考える人が多いのです。
女性医師をとりまく状況は変化している
同社は、女性医師の世代ごとの産休の割合についても調査しています。これによると、15週間以上の産休育休を取ったという女性医師は50代以上では35%にとどまりましたが、30代以下では56%にも及びました。また、産休が8週間以下だったという女性医師は50代以上で32%でしたが、30代以下では19%でした。
この調査からは、若い世代ほど産休育休を多く取得できていることが分かります。近年では女性の働きやすさが重視されるようになり、産休や育休への考え方も少しずつ変化しているのです。
産休を取りやすい職場を選ぶことが大切
産後には赤母乳をあげたり、子どもの夜泣きが多くなかなか睡眠が取れなかったりと育児もかなり大変です。また、産後の回復やホルモンバランスの崩れという観点で考えても、産後すぐの職場復帰は万全な状態とはとてもいえないもの。産後に思いがけない体調不良が起きることも考えられるため、育休が取得できる環境ならば取るに越したことはありません。
近年では、出産や育児を見越して、あらかじめ理解のある病院を選ぶという女性医師も増えています。産休や育休を取得しやすい職場なら、仕事に復帰したあとにも柔軟に働けます。
「産後は子育てに集中したい」「キャリアを失わないために早く復帰したい」など、女性医師の産休に対する考え方はさまざまだと思います。医療業界は昔と比べて柔軟に産休や育休を取得できる環境が整いつつありますし、今後もさらに労働環境の改善が期待できます。
自身のライフプランに合わせ、適切な期間の産休や育休を取得してみてくださいね。