国立がん研究センターは、魚の摂取と自殺の因果関係の研究を発表した。その結果は、「全体としては摂取量と自殺リスクは関連しない」が、「女性に限っては、魚をほとんど食べない人は、平均的な人と比較し、3倍から4倍の自殺リスク上昇が見られる」というものだった。
魚には、エイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)が含まれている。この栄養成分は精神的な健康にも効果を発揮するという研究結果が既に発表されている。
研究では、岩手県、高知県、沖縄県などの、40歳から69歳の男女約10万人を対象とした。2005年までに自殺した298人(男性213人、女性85人)について、調査を行った。その結果、女性で魚の摂取量が少ないグループに含まれる人は、魚を平均的に食する人の3倍から4倍の自殺リスクの上昇が見られた。この事実は、男性では見られなかった。
研究班は、「魚は日本人の健康を保つために、一定量の摂取は必要である」が、「多く摂取することと自殺リスクの低下は関連が見られない」と、調査結果から結論付けた。