このほど、血糖値を下げるインスリンの分泌を妨げる体内物質を、京都大学ウィルス研究所の増谷弘准教授、吉原栄治研究員らが突き止めた。この物質を減らす薬を開発し、糖尿病発症を減らすことが期待される。
この体内物質は、TBP2というたんぱく質。研究員らは、このTBP2を持たないマウスを生まれさせた。このマウスから分泌されるインスリンの量は、およそ1.5倍。いくら食べても血糖値は上がらず、糖尿病にならなかった。
しかし、3日間絶食させた場合、普通のマウスは生きることができたが、TBP2を持たないマウスは、その9割が死んでしまった。TBP2は、食べるものがない場合に、血糖値を下りすぎないように保っていると考えられる。
増谷准教授は、「かつては生存に不可欠な物質が、飽食の時代に、病気の原因になってしまったのだろう」と語った。