この春、九大や阪大などは、複数の国立大や医療機関による研究組織を設立して、乳がんで乳房を切除した患者のために、本人の幹細胞を用いて乳房を再生させる治験に取り組むことを決めた。健康保険が適用されるよう、国の承認を受けるべくデータ集めを行う。
幹細胞は、特定の細胞に変化したり、自分をコピーしたりできる。九大などの方法は、本人の腹部から採取した脂肪を分離器で幹細胞を多く含む細胞群を取り出し、乳房を再生する部分に2-3ccずつ、30-40回注入する。この方法では、拒絶反応が起こりづらく、また、自然な形に修復される。
現在主に用いられているシリコーンには、感染症の危険性があり、また、脂肪移植には、効果が持続しないという欠点がある。さらに、健康保険も適用されないため、この研究の成果が期待される。