一般受験の成功例の1年間の指導とその勝因
前回の続編として、一般受験の成功例の1年間の指導とその勝因を探ってみたい。
まず、慈恵、順天堂、日医など上位校に合格したS.H.さん(横浜双葉卒・1浪女子)。性格は明るく女の子の割にさっぱりした生徒。会社経営の父親と専業主婦の母親、・・・に支えられ、家庭環境は良好。家族の仲が良く、毎日予備校であった出来事を食卓を囲みながら談笑するような暖かい家庭に恵まれている。彼女の勝因は何か。たくさんある要因の中で特筆すべきは、その素直さである。よく、素直な子は伸びるとは言うが、彼女は学習方法を指導されると従順に自分の学習方法を変更(改善)し、モティベーションの上げ方を支持されればすぐに実行する。従前の方法にこだわらず簡単に学習方法や思考パターンを変更できるのだ。「言われた通りにしてるんだから、落ちたら責任取ってよね!」とドキッとさせられるセリフを吐きつつ、こちらの指導に完璧に乗ってくれた。
もうひとりの成功例
もう一人は2浪目の男子K.O.君。昨年は大手予備校に通うも合格校なしでYMSに入塾。兄弟姉妹5人の下から2番目で上3人は全員医学部に進学というプレッシャーの中での受験である。それでも昭和は既に合格を決め、日医と国立の新潟大の結果待ちは立派。彼の場合は前出のS.H.さんとは対照的にむしろ頑固な性格。こちらの指導にもよく突っ込みを入れて自分が納得しないと従わないタイプである。しかし、納得するまで考える姿勢は常に真摯で、ノートに考えを図示したり、簡単にまとめたりしながら取り組んでいた。国立を受験するということで苦手の国語を克服するために毎日、岩波文庫の「言葉の花束」の一節をノートに写し、意味を調べたりその一節の意味することを推察して文章を書くことを指導すると、こちらが毎日添削することを条件に受験直前まで続けた。その内容は多方面に及ぶが、わからない言葉や言い回しなどは辞書を調べ、自分なりの解釈や感想を時には図を使いノートにまとめていた。3冊にも及んだそのノートから、始めた頃から受験直前までには思考力のレベルが相当高まったことが見て取れる。彼の勝因はその思考力を伸ばしたことにある。実は数学も苦手意識があったのだが、結局この1年で数学が最も安定して好成績を維持できた。これも良問と言われる問題をよく考えながら何度も解き直したことの成果であろう。
上記の2人に学習面でどのような指導をしたかは長くなるので別の機会に譲るが、これから新たに受験学年を迎える生徒(特に浪人生)に提案しているアドバイスをまとめてある。参考にされたい。
七沢英文(ななさわ・ひでふみ)
中央大学法学部卒 塾講師、家庭教師などを経験。
1997年より医学部受験専門予備校YMS講師、現在YMS取締役兼同機関誌「Lattice」編集長。
NPO法人「ジャパンハート」理事。
趣味:オートバイ、車、写真、映画鑑賞、麻雀、料理、旅行など (しかし、現在まったくできない状況、泣!)
※記事掲載元:七沢塾~カリスマ講師直伝連載コラム~「一般受験の成功例の1年間の指導とその勝因を探ってみたい。」(閲覧には会員登録が必要です)