10月23日岡山大病院は肺移植で、脳死の臓器提供者から摘出した肺を移植する前に状態が悪くならないようにする体外臓器維持装置を国内で初めて使用した。
(参考:日本臓器移植ネットワークが15歳未満の少女の臓器を提供すると発表)
肺への臓器移植は、臓器提供者が脳死と判定されるまでに肺水腫などで状態が悪化することがあり、臓器移植の中でも他の部分に比べて移植を断念することが多かった。肺維持装置は、血液の代わりに特殊な液体を循環させることで薬剤投与や血栓やたんの除去も比較的容易にできる。欧米ではすでに導入されており、今回の移植に執刀した大藤剛宏准教授は留学先にてノウハウを学び、帰国後も引き続き研究することにで2011年に実施の承認を得た。
今回、移植には10時間かかったが移植された患者の30代女性は術後に自発呼吸を始め、経過は順調である。装置は1時間半の使用したが、岡山大病院ではさらに長時間など使用にたいする効果の検証がすすめられる予定である。大藤准教授は記者会見で「『使える可能性は残っているのではないか』と提供を受け、手を加えることで一つの命がつながれた。提供者やその家族の思いに報いることが出来た」と語った。