医療従事者はしばしば悪性腫瘍の治療に使用される抗がん剤の被曝のリスクにさらされている。医療現場において抗がん剤を取り扱う医師、看護師、薬剤師による「抗がん剤曝露(ばくろ)対策協議会」が発足された。
(参考:がんの疑い 指摘受けるも精密検査受診を受けない人が増加)
Photo:Tackling Tumors With Space Station Research (NASA, International Space Station, 02/28/14) By NASA’s Marshall Space Flight Center
抗がん剤はがん細胞を縮小させるが、同時に正常な細胞にも影響を及ぼす。これらを取り扱う医療従事者は抗がん剤により被曝するおそれもあり、その危険性が注目されてきている。抗がん剤を日常的に扱う看護師は他の看護婦に比べてDNA損傷が多いという報告があり、さらには頭痛やめまいの発生率が高く、妊娠中に扱うと流産のリスクが高くなるともいわれている。
近年、抗がん剤を取り扱う医療機関が増えている一方で、欧米では手袋やマスクを着用するなど取り扱い指針が整備されているのに比べ日本では看護師が点滴の際に素手で取り扱っているという現状もある。この状況を見直し、被曝リスク軽減のための啓発を目的として「抗がん剤曝露(ばくろ)対策協議会」が医師、看護師、薬剤師らによって発足された。国立がんセンター名誉総長の垣添忠生氏は、防御体制の強化をしていきたいとコメントしている。