大阪大学ら研究チームは脳梗塞の炎症を抑えるたんぱく質をマウスの実験にて突き止め、新たな治療薬への可能性を発表した。19日、「米科学アカデミー紀要」電子版にて論文が掲載された。
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大阪大学の島村宗尚准教授(健康発達医学)ら研究グループは脳梗塞患者の血液成分・症状などのデータからRANKL(ランクル)というたんぱく質に注目。患者のうち血中濃度にOPGというたんぱく質が多い傾向が見られ、このたんぱく質がRANKLの働きを抑えていることがわかった。
脳梗塞を起こしたマウスにRANKLを投与したところ投与しなかったマウスに比べて脳の炎症が40%抑えられた。RANKLは免疫を調節しているたんぱく質である一方、骨粗しょう症を悪化させる原因物質でもあるため投与しすぎないなどの検討が必要である。
現在日本では脳梗塞による死亡者数は年間7万人を超えるといわれている。さらに後遺症などにより介護が必要となるケースも多い。今回の研究により新たな治療薬の可能性が期待される。