国立がん研究センター分子細胞治療研究分野の小野麻紀子研究員と落谷孝広分野長らの研究によると、乳がんの再発に骨髄中の小胞エクソソームが関与していることがわかった。今回の研究結果は7月1日の米科学誌Science Signalingオンライン版で発表された。
(参照:AICS 5mlの血液で複数のがん検査が可能 婦人科がんの早期発見も)
年間4万人以上の女性が乳がんと診断されており、手術で取り除いても再発・転移するケースも少なくない。骨髄中に残ったがん細胞が増殖しているのではという考えから、小野研究員と落谷分野長らは骨髄にある間葉系幹細胞と乳がん細胞を一緒に培養。その結果、間葉系幹細胞から分泌する小胞エクソソームが乳がん細胞を取り込み休眠状態にしていることが分かった。
乳がん細胞が休止することにより抗がん剤が効かなくなり骨髄中にがん細胞が残ってしまう。このがん細胞が何かのきっかけで活発化して再発につながっているということである。今回の研究結果に小野研究員は「再発防止や休眠中のがん細胞への治療方法、薬の開発につなげたい」と話している。