幻覚や妄想などの症状が出る精神疾患の統合失調症。その発症の詳しい原因はいまだ解明されていない。しかし22日、日本の研究チームを含む国際研究グループによって治療薬の開発につながる新たな遺伝子が多数特定されたことがわかった。
(参照:乳がん再発に骨髄中の特定物質が関与)
Photo:DNA By Caroline Davis2010
米ハーバード大学や英ケンブリッジ大学、藤田保健衛生大学などを含む世界30カ国以上の国際研究グループは、統合失調症に関する遺伝子を新たに83個特定したことを英科学誌ネイチャー電子版にて発表。これまでに特定されていた25個と合わせ108個が特定されたことになる。
統合失調症は100人に1人が発症するといわれており、日本だけでも20万人が入院している。研究チームは統合失調症の患者約3万7千人と、患者ではない約11万3千人の遺伝子を比較。現在、統合失調症の治療薬は1個の遺伝子に働きかける抗精神病薬などが使用されているが、今回の研究結果は新たな治療薬の開発につながるとして期待されている。
研究に携わった藤田保健衛生大学医学部の岩田仲生教授は「新たな治療薬の開発の足がかりになる」とポジティブな見解を示している。