医師は24時間体制で患者の対応に追われ、常に緊張感が求められる。同じく研修医も医師と同様に当直などをこなさなければならないが、うつ病やバーンアウト(燃え尽き症候群)と診断されるケースが少なくない。
(参照:医療現場で長く働く―岐阜県が医療勤務環境改善支援センターを開設)
2009年に発表された岐阜大学大学院医学系研究科産業衛生学分野の調査によると、研修医になり2ヶ月の時点でバーンアウトまたはうつ病と診断された研修医は男性で26.0%、女性で36.6%と全体の約3割を占めていることがわかった。さらに警察庁の発表では、2006年度には1年間に90人もの医師が自殺していた。
研修医がうつ病やバーンアウトとなる要因としてまず挙げられるのは勤務時間である。立場上、先輩医師より先に帰りづらかったり、勉強のために帰りが遅くなったりと、帰宅時間が変則的になりがちである。新臨床研修制度導入後の研修医の勤務時間は旧制度よりも減少したが、未だ1週間に80時間以上の実労働時間になるケースもあるという。プレッシャーや孤独感もあり、さらに誰にも悩みを話せないというのが症状を深刻化させている。
2011年には研修医のメンタルヘルス改善のために高知県で「Safety Scrum(セーフティスクラム)」が立ち上げられた。ここではセルフケアの講義や相談窓口、若手医師同士のネットワーク作りなどを行い研修医をサポートしていく取り組みをしている。患者を支える立場にある医療従事者には心身健康でいてほしい、と思う人は多いだろう。現状改善のため、今後はこのような取り組みの広がりが求められる。