厚生労働省は複数の抗生物質がほとんど効かない多剤耐性菌について、医療関係者に対し感染患者を診察した際は国に報告するよう義務づけた。多剤耐性菌は海外から持ち込まれるケースが多く、今回の義務化は国内の医療機関での感染拡大の防止へつなげるのがねらいとなっている。
(参照:インドで増加する抗生物質の過剰使用―薬物耐性ありの超強力細菌発生という弊害)
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感染患者の報告が義務づけられた多剤耐性菌は「多剤耐性アシネトバクター」と「カルバペネム耐性腸内細菌科細菌」の2つである。これらの多剤耐性菌は死亡するケースもあり、アメリカやヨーロッパの医療現場でも問題となっている。東南アジアなど一部の地域では多剤耐性菌が多く流行している地域もあり、安易に海外で美容整形などをすることは感染リスクを高める要因のひとつにもなりうる。厚生労働省は報告を義務づけることにより、継続的な調査と国内での感染拡大への対策へつなげるとしている。
大阪府感染症情報センターは耐性菌を生み出さないためのガイドラインを公開しており、処方された薬の取り扱いや安易に抗菌薬は使わないこと、ワクチンによる予防をすることといった注意を呼びかけている。