国立成育医療研究センターの研究報告によると、生後まもない赤ちゃんに毎日保湿剤を塗ることでアトピー性皮膚炎になるリスクを減らせるということがわかった。特定の方法がアトピー性皮膚炎の予防に効果があると証明できたのはこれが初めてである。
(参照:赤ちゃんの皮膚を保湿でアトピー性皮膚炎のリスクを軽減)
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国立成育医療研究センターの斎藤博久副研究所長らの研究グループの報告によると、アトピー性皮膚炎になった家族がいる生後間もない赤ちゃん118人を対象に実施。そのうち半数には毎日保湿剤を塗り、もう一方には乾燥している部分のみワセリンを塗った。8ヶ月経過を観察したところ、毎日保湿剤を塗った赤ちゃんでアトピー性皮膚炎になったのは19人、ワセリンを塗った赤ちゃんは28人だった。これにより、毎日保湿剤を塗ることでアトピー性皮膚炎の発症を32%抑える効果があるということがわかった。
赤ちゃんにアトピー性皮膚炎の症状が現れるのは早くて生後4カ月頃。両親のどちらかがアトピー性皮膚炎の場合、赤ちゃんに遺伝する確率は50%といわれている。アトピー性皮膚炎を発症した場合、ステロイド外用薬の多用などで皮膚炎が悪化するケースもみられる。しかし今回の発見で、多くの家庭で早期から子どもの肌を守ることが容易になるだろう。