国連合同エイズ計画(UNAIDS)は2030年にエイズ流行を終結させるという目標を掲げているが、いまだ検査や治療の普及は難しく、国内では毎年約1500人のHIV感染者とエイズ患者が新たに報告されており、累計約2万3000人にのぼるという。しかし未だ偏見も強く、検査に足を運ばない感染者も含めると実際にはより多い人数がいるであろうことが予想される。
(参照:HIV陽性者への理解、働きやすい職場作りへ 東京都がハンドブックを作成)
Photo:AIDS awareness ribbon By anqa
かつて不治の病といわれていたエイズ。しかし現在では、治療の進歩によりHIVに感染しても薬を服用し続ければエイズ発症をコントロールできるようになってきた。薬にはウイルスのRNAからDNAが作られるのを防ぐ逆転写酵素阻害薬や、ウイルスのDNAがヒトのDNAに組み込まれるのを抑えるインテグラーゼ阻害薬など様々なものが開発されてきており、国内だけでも20種類以上の薬が承認されている。毎日服用し続けるほか、副作用などもあるが服用しないとエイズ発症のリスクが高まるというデメリットもある。一方でHIVウイルスは増殖時に形を変えたり薬に耐性を持つようになったりすることから、根本的なHIVの治療薬の開発は難しい課題となっている。
早期治療でエイズ発症を抑えることはできるが、まず無自覚の感染者を減らしていくためにもエイズに対する偏見の払拭や関心を高める必要がある。