英科学誌ネイチャー(Nature)にて7日、欧米の研究チームが多剤耐性菌の新しい抗菌化合物を「iChIP」と呼ばれるスクリーニング手法を用いて発見したことが発表された。自然界に存在する抗菌化合物を発見した「iChIP」という手法は、さらなる新薬の発見にもつながる可能性があるとしている。
(参照:多剤耐性菌 医療従事者による感染報告を義務化)
Photo:Laboratories By SLU Madrid Campus
研究チームは「iChIP」というスクリーニング手法で、自然界に存在する抗菌化合物を発見。抗菌化合物は「テイクソバクチン」と名付けられ、培養実験でブドウ球菌や結核の耐性菌、ディフィシル菌、炭疽菌などがテイクソバクチンにより死滅したことを確認した。薬剤耐性の黄色ブドウ球菌に感染したマウス実験でも、テイクソバクチンが有効であることがわかった。この「iChIP」により、自然界からさらに天然化合物が発見される可能性があるとして期待されている。
国内では、多剤耐性菌は海外から持ち込まれるケースが多く、感染患者を診察した際は報告するよう医療従事者には義務づけられている。抗菌剤は安易に使用しないよう注意を呼びかけるとともに、肺炎球菌やインフルエンザ菌などは、抗菌剤を使用する事態を防ぐため、ワクチンの予防接種が勧められている。