産業技術総合研究所と和光純薬工業は、そのまま移植することで腫瘍化するリスクを持つ人工多能性幹細胞(iPS細胞)や胚性幹細胞(ES細胞)を、移植用に作製した細胞から取り除く薬を開発したことを発表した。
(参照:iPS細胞 動物への軟骨組織移植に成功)
再生医療で大きな期待をされているiPS細胞、ES細胞だが、細胞を作製する際に元の細胞が残ることがあり、そのまま移植をしてしまうと腫瘍化する恐れがあった。そのメカニズムとして大きく分けて2つの理由があり、1つ目は、細胞に導入された初期化因子が再活性化するためで、2つ目は、未分化細胞が残ることによって奇形腫(良性腫瘍)の形成が引き起こされるためであった。今回、産業技術総合研究所と和光純薬工業の研究チームは、細胞の表面にある糖鎖と結合するたんぱく質と元のiPS細胞、ES細胞を死滅させる薬を開発した。今月からサンプルの配布を開始し、発売は7月以降を予定している。
ほかにも、軟骨を培養してからの移植は痛みを再発されると問題視されていたが、今年2月にはヒトのiPS細胞から作った軟骨組織を動物に移植し、ガラス軟骨の作製に成功したことが京都大学iPS細胞研究所によって発表された。多方面で治療法が確立し、再生医療の発展に伴い確実に問題解消が進められている。