一つの診療科や分野において、高度な知識や技量、経験を持つ医師であることを認定する「専門医」の制度。
すでに自らの専門分野の専門医認定を取得している方や、取得に向けて準備中の方も多いと思います。
現状の専門医制度についてはさまざまな問題点が指摘されており、厚生労働省は2011年より「専門医の在り方に関する検討会」を設け、制度改革に向けて準備を進めています。
2014年には専門医の認定や更新を行う第三者機関「日本専門医機構」が設立されました。この日本専門医機構が統括することになる新専門医制度は、2017年度にスタートする見通しです。
新たな制度により、専門医は従来と何が変わってくるのでしょうか?
新制度の概要をお伝えします。
現状の専門医制度と問題点
従来の専門医は、各領域の学会が独自で制度を設けて認定を行ってきました。
しかし、専門医制度を運用する学会が乱立し、認定基準が統一されていないのが現状です。
各制度により認定取得の難易度に差があり、専門医の質の低下が懸念されています。
また、患者さんに「専門医」の意味するところが理解されておらず、現状では受診の際のわかりやすい指針とはなっていません。
医師にとっても、専門医を取得することによる特別なインセンティブはありません。
新たな専門医制度の概要
こうした現状を踏まえ、専門医の質を高め、良質な医療が提供されることを目的として新たな専門医制度が構築されることとなりました。
主な変更点について見ていきましょう。
・第三者機関による統一的な認定に
新専門医制度は、中立的な第三者機関である日本専門医機構が専門医の認定と養成プログラムの評価・認定を統一的に行うことになります。
・専門医認定・更新の要件見直し
医師は基本領域のいずれか一つの専門医を取得するのが基本になります。
専門医認定は、経験症例数などの活動実績が要件とされ、専門医取得後の更新の際にも、各領域の活動実績が要件となります。
既存の学会認定専門医からの移行については、日本専門医機構により移行基準が作成される予定となっています。
・専門医養成は医師偏在に配慮して実施
専門医の養成は、日本専門医機構に認定され養成プログラムに基づき、大学病院などの基幹病院と地域の協力病院など(診療所を含む)が病院群を構成して実施します。
専門医の養成数は、患者数や研修体制等を踏まえ、地域の実情を総合的に勘案して設定されます。
・新たに「総合診療専門医」を追加
2017年度から基本領域の専門医として、新たに「総合診療専門医」が加わります。
総合診療医には、日常的に頻度が高く、幅広い領域の疾病と傷害等について適切な初期対応と必要に応じた継続医療を提供することが求められます。
以上、新専門医制度において予定されている主な変更点についてお伝えしました。
今後、新たに専門医認定取得を目指す方も、現在の専門医認定の更新を考えている方も、新制度の動向については注目しておく必要があると言えるでしょう。
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