近年では高齢化の影響により、在宅医療に大きな注目が集まっています。
「患者が高齢化し通院出来なくなってしまった」などの理由でこれまで地域を支えてきた医療機関が在宅医療に踏み切るケースも多く、在宅診療医のニーズは常勤・非常勤共に高まっています。
在宅診療医の外来・病棟対応との違いや、女性医師にとってのメリットなどをお話します。
在宅医療って?
外来・入院に次ぐ「第3の医療」とも呼ばれる新たな医療形態です。
在宅診療や訪問診療と聞くと、患者の具合が悪くなったときに診察に出向くという想像になりがちですが、実際はそうではありません。
「自分1人での通院が困難な患者」を医師が定期的に訪問し、計画的に患者の健康管理を行うというシステムです。
病気の治療を含め、転倒や寝たきりなどの予測されるリスクを回避し、入院が必要な状態を未然に防ぐといった患者に寄り添ったサポートが求められます。
訪問診療施設で働くメリット
就業時間は、訪問先の受け入れ時間などの関係で「9時~18時」や「8時30分~17時30分」といった設定になっている機関が多くあります。
残業のない場合がほとんどで、時短勤務などに対応している医療機関もあるため、家庭を持つ女性医師にはオススメの職場環境です。
しかし、基本的には24時間でのコール対応が求められます。勤務先を選ぶ際には、オンコール当番日の担当制についてや、看護師による1次対応体制の有無についてなどをあらかじめ確認しておく必要があるでしょう。
また、報酬面では比較的優遇されており、若手の医師ほど同年代の病院勤務医との差が大きく開ける傾向にあります。
訪問診療の2つのタイプ
訪問診療には、個人宅を訪問するケースだけではなく、老人ホームなどの施設を訪問して診療を行うケースの2パターンがあります。
診療内容そのものはあまり変わりませんが、前者はより患者との距離が近く、後者は1度に複数人を診療出来るといったそれぞれのメリットがあります。
在宅医療医への転職を考える場合は、個人宅と施設のどちらを中心に診療を行っているのかをあらかじめ調べ、自身のキャリアや医療への考え方に合わせて選ぶのが良いでしょう。
訪問診療に求められる人材とは
科目に関しては総合内科や外科を包括的に診られる医師が求められますが、それ以上に重視されるのは人柄や考え方です。
患者に寄り添い、近い目線で話したり聞いたりすることが出来るかといった部分は患者からの評価に関わります。
また、必然的に看取り件数が多くなるため、そのような場合に患者や家族のためにどういった対応をするべきかという考え方も重要です。
勤務形態的なメリットもあり、さらに「患者とじっくりと向き合いたい」という医師はやりがいを見出しやすい在宅医療。
在宅で出来ることは限られますが、患者やその家族とのコミュニケーションを取りながら支え、見守る訪問診療医として、新たな医療の道を志してみるのも良いのではないでしょうか。