2017年度から厚生労働省が試行を予定している『新専門医制度』は、専門医を育成するための制度です。
この新制度に問題点があると、設立を疑問視する声もあります。
そこで今回は、新専門医制度の問題点、そして女性医師にとってどのような影響があるのかを紹介します。
新専門医制度とは
2017年度から試行を予定している『新専門医制度』は、これまでの専門医制度の課題を解決することを目的としています。
これまでの専門医制度では、各学会で独自に運用してきたため『専門』の質のばらつきが顕著になっていました。
独自の基準で専門医を認定してきた一方で、患者側の理解が低いということも問題とされています。
これらの問題を解決するために第三者による認定を設け、専門医の質を高めつつも、医療の質を上げようというのが新専門医制度の目的です。
疑問視される問題点
新専門医制度では疑問視されている問題点がいくつかあります。
・女性医師にとって仕事を続けにくくなる
・地方で働く医師にとって影響が大きい
・研修期間が長いため専門医の数が減る
・内科専門医は専門医療の研修が遅れるため、医療の質が低下する
「地方で働く医師にとっては、必要な指導医数をクリアできる病院が少ない」という問題点が指摘されています。
新制度開始にあたり、地方の準備がまだ追い付いていないのです。
また、内科専門医は内科全般の研修が義務付けられることになります。
研修終了後に専門医療のトレーニングが開始され、今までよりもトレーニング開始が遅くなることから、医療の質の低下になるのではという声も出ています。
女性にとっても影響が大きい?
では女性にとっての影響として、どのようなことが挙げられるのでしょう。
ここ数年で「女性医師の活躍の場を増やそう」という動きが主流でしたが、この新専門医制度により少し変わってくるのでは、という考えをする人もいます。
その理由として挙げられるのが、新専門医制度では認定研修施設で数年間、さらにフルタイムで研修を受けることが条件であることです。
女性医師の中にはちょうど結婚や出産の時期に重なるとい人もいて、家庭と仕事を両立したいと考える女性にとってはかなり不利な制度と言えるでしょう。
フルタイムでさらには土日に関係なく働いてほしい、夜勤もしてほしい、ということでは、女性医師にとってはかなり不利です。
そうなると、仕事をリタイヤする子育て世代の女性医師が増えると懸念されています。
新制度は女性医師の活躍を妨げる?
日本でも少しずつ女性の社会進出が進み、女性医師の活躍の場も増えてきました。
しかし、仮にこの新制度が始まった場合、女性医師たちは今と変わらずに仕事を続けることができるでしょうか。
女性の家事や育児の負担率が改善されている最中の日本では、まだ厳しいものがあると言えます。
この新制度を導入するには、現在の女性医師の労働環境や労働条件を抜本的に変えていく必要がありそうです。
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