2017年から「新専門医制度」が開始されます。
この制度は2013年4月に厚生労働省から「専門医の在り方に関する討論会」の発表を受け、一般社団法人専門医機構によってまとめ上げられたもの。
新専門医制度は、標準レベル以上の専門医を養成することが目的です。
しかし、この新しい制度は「内科医師にとって不利になるのではないか」と懸念する人もいるのも事実。
なぜ、この新専門医制度が内科医師にとってデメリットになってしまうのでしょうか。
今回は、新専門医制度と内科医の関係についてご紹介いたします。
新専門医制度は「二段階制」
新専門医制度は「二段階制」という特徴があります。
新専門医制度では初期臨床研修が修了したあと、19分野の基本診療領域の中のいずれかの取得に最低でも3年の月日が必要になり、その後はサブスペシャリティ分野の専門医を目指します。
このように、新しい新専門医制度は二段階制になっているのです。
これに関して、それぞれが目指す専門領域の研修開始が遅くなるとして問題視されています。
内科の専門医が少なくなるかも……!?
新専門医制度について日本内科学会は、より高度な知識と技術を持つ内科専門医を育成することが最大の目的だとしていますが、この新専門医制度によって若手の内科医が減少するのではないかとの意見もあります。
これは、やはり上記で説明した通り専門医資格を取得するまでに研修などの期間で相当数の年月を使ってしまうということが原因です。
とくに新内科専門医の資格取得のためには、幅広い内科の症例を見なければならないため、自分が希望する科でないところもローテーションで周り、学ばなくてはなりません。
そのため、これから研修医期間がスタートするという方にとって、新内科専門医の道へ進むことは大きな決断となるのです。
ただし、今の段階ですでに内科専門医の資格を持っている医師に関しては、新内科専門医へ移行ができるようになっています。
女性医師にはさらなる懸念が?
女性にとって結婚と出産は人生においておおきなターニングポイントとなりますが、内科専門医への道へ進むとなると、現役でもやっと専門医の資格を取れたと思ったときには29歳です。
女性にとって結婚や出産を本格的に考える年齢となるため、仕事とプライベートの両立が難しくなってしまいます。
これから内科専門医として活躍して行こうというときに、仕事とプライベートを天秤にかけなくてはならなくなってしまうのです。
新専門医制度に対して直訴した若手医師も
この女性にとって不遇ともいえる新専門医制度に対して、実際に直接した若手医師達がいます。
福島県・宮城県で勤務する医師12名が塩崎恭久厚労相に対し、新専門医制度は負の影響があるとして、もう一度この制度に関して議論をするように求める「新専門医制度に関する陳述書」を提出しました。
その中には、女性医師に対する配慮への記述もあり、出産や育児をしながら仕事を続けることに不具合が生じることが強調されていました。
このように新専門医制度の運用は内科医師、とくに女性内科医師にとって課題が残ります。
少子化が問題とされる現代社会であるからこそ、この新制度は政府や国民の意見と矛盾しているように考える方も少なくありません。とはいえ、そもそも日本の内科医療をより良くするために開始される新制度であるため、今後は実際の運用効果にも注目していきたいところです。