近年では街中や飲食店などでの分煙化、禁煙化が進み、たばこによる健康への害を強く警告する動きが見られます。
たばこ税の引き上げや喫煙マナーの呼びかけなどからも、世間の禁煙への関心が溜まっていますが、やはり愛煙家が存在するのも事実。
止めたいとは思っていても、息抜きの1つであることや依存性があることもあり、なかなか禁煙ができないという方もいるでしょう。
しかし、最近では喫煙が原因で、DNAが突然変異することが分かりました。
たばこが肺へもたらす被害は広く知られていますが、DNAとの関わりとは一体どういったものなのでしょうか。
今回は、新たに発見された喫煙とDNA変異について見ていきます。
喫煙によってDNAが変異する!? さらにがんを誘発する!?
たばこの煙にはニコチンや一酸化炭素、シアンカ水素など、体に有害な物質がたくさん含まれています。
喫煙によって発症のリスクが上がる病気として代表的なものに「がん」「慢性閉塞性肺疾患」「虚血性心疾患」などがありますが、今回は新たに発見されたのが、喫煙によってがんを誘発するようなDNA変異が起こっているということ。
この真実を明らかにしたのは、国立がん研究センター研究所のグループ。
喫煙との関係が深いとされている17種類のがんを調査すべく、がんゲノム変異データーを利用した解析を行いました。
そして、その結果では「喉頭がん」「肺腺がん」「口腔がん」「肝臓がん」「すい臓がん」「膀胱がん」の6種類で喫煙によりDNAの変異が多く起きることが分かったのです。
1年間毎日1箱の喫煙をすると、肺では150個のDNA変異が起こる
喫煙によって6種類のがんにDNA変異が起こることが分かっていますが、中でもとくに多く突然変異が起こるのが肺です。
1年間毎日1箱のたばこを吸うと、肺では150個のDNAが変異していることが分かったのです。
他のパーツを見て見ると、「喉頭97個」「口腔23個」「咽頭39個」「膀胱18個」「肝臓6個」の突然変異ができていることが分かりました。
喫煙による発がんタイプは3種類に分けられる……?
これらの新発見をさらに解析しDNA変異のパターンを調べたところ、突然変異を3つのパターンに分けられることがわかりました。
まず1つ目は、肺がんや肝臓がん、喉頭がんなどのたばこの発がん物質が体内に取り込まれることで直接的に突然変異が起こっているもの、
2つ目は、膀胱がんなどのたばこの発がん物質が体内に取り込まれることで間接的に突然変異が起こるもの。
3つ目は、子宮頸がんなどの変異が見られなかったものです。
3つ目のように今回の解析だけでは解き明かせなかったものもありますが、喫煙ががんを誘発するリスクを上げているということからは目を背けることができません。
たばこによる健康被害を避けるためには、禁煙を行うほかありません。
とはいえ、受動喫煙であっても発がんのリスクが上がることは分かっています。
毎日の健康と幸せな未来を守るためにも、今一度たばことの向き合い方を考えてみましょう。