食物アレルギーと診断された子どもは、日々の食事はもちろん、生活の中でも注意すべきことがたくさんあります。特に、学校や保育所に通う子どもの場合、家を出てから帰宅するまでの間は母親の目を離れることになるため、子ども本人や学校の先生にアレルギーのことをきちんと理解してもらわなければなりません。
しかし、いくら注意をしていても、知らない間にアレルゲンとなる食品を口にして「誤食」のトラブルを引き起こす子どももいます。
食物アレルギーを持つ子どもを育てながら働いているママドクターにとって、このトラブルは気がかりになるでしょう。そこで今回の女性医局ニュースでは、食物アレルギーの子どもが誤食を引き起こす原因や、学校や保育所での誤食対策についてご紹介します。
学校・保育所での「誤食につながる問題(ヒヤリ・ハット)」は多い!?
(日清オイリオグループ 第3回食物アレルギーに関する実態調査【図2】引用)
日清オイリオグループ株式会社は、学校や保育所で給食づくりに従事している栄養士や管理栄養士に対し「食物アレルギーに関する実態調査」というアンケートを実施しました。
このアンケート内容の1つに「現在従事している施設において、誤食につながる問題(ヒヤリ・ハット)の発生はありましたか?」という質問がありましたが、なんと約6割の方が「ある」と回答。
ヒヤリ・ハットとは、重大なトラブルには至らないものの、一歩間違えたら大きな問題になることもある事態を発見したときを表す言葉。実際に誤食は起こらなかったものの、その一歩手前の状態を経験している方が意外にも多いことがわかります。
誤食につながる問題の内容とは?
(日清オイリオグループ 第3回食物アレルギーに関する実態調査【図3】引用)
現在従事する施設において、食物アレルギーの誤食につながる問題を経験したことがあると回答した約6割の栄養士と管理栄養士を対象に、「どのような問題を経験しましたか?」というアンケートを行いました。
すると、1番多く回答されたのが41.3%の「誤配」となり、次いで39.7%の「原材料での混入」が続く結果となりました。この他にも「調理過程での混入(30.2%)」「食べる側による誤食(23.8%)」などが挙がり、給食を作るときだけではなく、配膳するときや食べるときにも誤食トラブルの原因が隠されていることがわかります。
学校や保育所で行っている食物アレルギーへの対応とは?
(日清オイリオグループ 第3回食物アレルギーに関する実態調査【図4】引用)
誤食につながる問題の発生が少なくないことがわかりましたが、これを防ぐためにも、たくさんの学校や保育所で食物アレルギーへの対策が取られています。
特に多くの学校や保育所で取り入れられているのが「献立表の改善(78.6%)」「食札の工夫(75.7%)」「複数人によるチェック(68%)」でした。いずれも50%を大きく上回り、たくさんの学校や保育所で誤食につながる問題への対策が行われているとわかります。
一方、「代替食品の活用」や「食物アレルギーの原因になる食材をできるだけ使用しない」などの調理面での対策は、すでに実施していると回答した方は48.5%と半分を切る結果に。食事のメニューにこだわることで誤食につながる問題の発生はより少なくなることが予想されますが、実際に取り入れようとするのは難しいことのようです。
育児と仕事を両立し、我が子と患者の両方の命を守るママドクターにとって、学校や保育所での誤食トラブルには不安があることでしょう。
しかし、今回のアンケート結果からわかったように、積極的に食物アレルギー対策を行っている学校や保育所もあります。子どもの安全を守るためにも、我が子が通う学校や保育所はどんな対策を取っているのかチェックしてみることをおすすめします。