本年4月から新専門医制度がスタートします。これまで、専門医の認定は各学会が独自に行ってきました。
これからは、学会と日本専門医機構が統一的な基準で養成や認定を行うシステムへと変わり、医療の質も統一されることが期待されています。
しかし、専門医を養成する施設の基準が厳しく、専門医の養成機関として認められない地方の病院も多いのが現状です。
このままでは、地方と都市部によって医師の偏在が助長されてしまうのではないかと懸念されています。
2018年度の1次募集が終わりましたので、その結果を踏まえ、地域医療が受けるダメージについて考えてみましょう。
新専門医制度が認定する基幹病院の基準と地域医療が受けるダメージ
今回の新専門医制度では施設基準のハードルが上がり、初期臨床研修病院であっても基幹病院になれないことが問題とされています。
医師は専門医の資格取得を念頭において初期臨床研修病院を選ぶことが予想されるため、基幹施設になれない地方の病院では後期研修医を採用できなくなるといった事態が考えられます。
新専門医制度が与える地域医療への影響と対策
新専門医制度によって専門医が都市部へ集中することが予想でき、地域医療への影響が懸念されます、そのため、東京、神奈川、愛知、大阪、福岡の5都府県では、過去5年間の採用実績を超えないことが条件とされました。
この条件は、地域格差や医師の偏在を解消する役割を担っています。
新専門医制度の一次登録は終了し、卒後2年目の臨床研修医の約9割に当たる7989人が登録していることが公表されました。
1次の登録数は東京では内科への登録者が520名でしたが、福井県11名、宮崎県9名、高知県5名という結果となり、地域の格差が解消されたようにはみえません。
徳島県と佐賀県では小児科への希望者がない状態です。
新専門医制度が開始される前の段階から地域医療がダメージを受けるということが問題視されており、その問題を解決する手段として5都府県の募集条件に制限が加えられました。
しかし、この条件では地域医療が受けるダメージは解消されているようにはみえません。
後期研修医の養成や認定を受けられる基幹病院の基準の見直しや、首都圏で初期研修を受けた医師が後期研修を地方の地域医療の現場で受けられるようなシステムの大幅な見直しが必要といえます。また、都市部の病院と地域医療の現場の連携に関する条件など、多方面からの改善も取り入れるべきだといえるでしょう。
現状でも、地域医療の現場は医師不足による医療従事者のハードワーク化が問題視されています。
都市部よりも医師不足が問題になっている地域医療の現場が、さらに過酷な現場とならないよう早急な改善案が望まれます。