医師の求人に多く見られるクリニックでの院長職、いわゆる「雇われ院長」は一般的に繁盛しているクリニックや病院が分院する際に必要となる管理者のことです。一つの医療施設の責任者なので手当ても多くつきますが、一方で経営者としての能力も求められる仕事でもあります。今回は女性医師が雇われ院長に転職するメリット、デメリットについてご紹介します。
院長に転職するメリット1 給料が高い
雇われ院長は一つの施設の責任者としての採用なので、一般的な勤務医よりは給料が高めの傾向です。基本的には、契約した時間通りに働き、業務をこなすことを求められるので、実質的には勤務医とそう変わりがありません。ここに院長手当がプラスされるので、勤務医より高くなることが多いのです。
院長に転職するメリット2 当直・オンコールがない
基本的にクリニックには入院施設もなく、予約した患者が訪れるだけなので当直やオンコールがありません。生活が不規則になりやすい当直や、時間外に呼び出されるオンコールは、主婦でもある女性医師にとっては対応が難しいものです。その点、雇われ院長は時間外の労働がないために計画が立てやすく、生活のリズムも家族に合わせやすいのがメリットです。
院長に転職するメリット3 経営資金は負担しなくていい
医師として独立開業をする場合は、経営資金を自分で調達し、医療機器をリースしスタッフを揃え、患者が来るように営業努力をする必要があります。しかし雇われ院長の場合は経営者が資金も機器もすべて用意しているので、医師が金銭的な負担をするものはありません。またクリニックやその母体組織の経営がうまくいかなくても、雇われ院長が負債を負担することはありません。
院長に転職するデメリット1 クリニックで起こるすべての責任者
雇われ院長とはいえ、一つの医療施設の責任者になるので、クリニックで起こる医療的な問題すべての責任を取る必要があります。またエステサロンが美容クリニックを開設するケースのように、経営法人が一般企業である場合、雇われ院長が独立開業するという体裁を取るので、行政上の責任者にもなります。そのため、トラブルが起きた際には行政処分を受けることもあり得ます。
院長に転職するデメリット2 医療以外の業務が多い
雇われとはいえ、一つのクリニックの経営を任されるので、人事や労務の管理や医師会の集まりに出るなど、医療業務以外の仕事が多いのも院長の特徴です。医療業務を行いながら、その他の業務も同時に片付けなくてはいけないことから、今まで以上にタスク管理機能が求められます。
院長に転職するデメリット3 利益を出すことを求められる
クリニックでは利益を出すことが求められるため、院長にも経営努力が求められます。どうすれば受診者が増え、どうすれば一人当たりの単価がアップするか、常に利益のことを考えて行動することが必要です。
雇われとはいえ、院長はクリニックの責任者なのでやりがいがある働き方です。給料がアップし、当直もオンコールもない雇われ院長は女性医師にとっても嬉しい転職先ですが、その一方で責任者としての業務が増えるというデメリットもあります。院長職を検討する際には、このようなメリット・デメリットがあることを知っておきましょう。