栃木県内の女性医師の勤務環境の調査によると、近年、女性医師の割合が増加しているにもかかわらず、病院の受け入れ態勢が対応できていない状況が明らかとなった。
調査は県医師会勤務医部会、独協医大産科婦人科の望月善子准教授によって行われた。県内の110病院と女性医師782人を対象に今年の5月から7月調査を行った。病院からは74、女性医師からは299人から回答を得た。
病院の調査によると、子育てをしながら勤務を続ける上で必要となる院内保育施設の設置は41.9%、前回の調査を行った2007年では41.7%とほとんど変わっていないことがわかった。そのうち24時間保育を行っている施設は16.2%(07年は16.6%)しかなかった。
女性医師への調査によると、常勤勤務が約9割、そのうち月5回以上の当直勤務をしている医師は8.1%いた。非常勤で勤務する医師の多くは育児を理由とするものだった。これまで休職、離職したことのある人は135人おり、希望する勤務形態は日勤のみの常勤が53.3%と最多で、非常勤を希望する医師は20%に達した。院内保育所があっても利用していないという回答が6割あり、勤務時間と施設の運営時間が合わなかったり、緊急呼び出しに対応していないなど、常勤医師の勤務を続ける為の体制が整っていないことがわかった。
現在離職している「潜在的女性医師」は4.4%いるという。職場環境が子育てに協力的と答えたのは39%だった。女性医師としての悩みとして最も多かったのは「家事と仕事の両立」74.2%だった。