山形県西川町で16日、地域医療に生涯をささげた女性医師志田周子(ちかこ)さんの生誕100年を記念した講演会とコンサートが「西川交流センターあいべ」で行われ、県内外の約300人が参加した。
志田周子さんは1910年生まれ、現在の東京女子医大である東京女子医学専門学校を卒業後、父の要請で24歳から西川町大井沢地区の村医となった。生涯独身で62年に51歳の若さでがんで亡くなった。
今年6月、山形県や西川町、関係者によって「やまがたの宝『志田周子』資源活用化実行委員会」が設立された。志田さんの生誕100周年に合わせ、志田さんの功績や生涯をまとめるパンフレットの制作など啓発活動に取り組む。今後はドラマや映画化も目指す。
志田さんをモデルとした小説「風吹(かざほこ)峠」を上梓した山形出身で直木賞作家の高橋義夫さんが講演「よみがえる周子」を行った。高橋さんはただ一人の村医として地域医療に生涯をささげた志田さんについて、「住民には相当な安心感を与えただろう。彼女の生き方は美談だが、一人の女性としてあまりにかわいそうではないかと思い、小説を書いた」と語った。
アメリカ在住のシンガー・ソングライターの岩瀬明美さんは、志田さんの生き方に感銘を受けて作った「月の山」という曲を披露した。