【学習塾を選ぶための条件パートⅢ】
「教材」と「実績」。情報収集には手を抜くなかれ!
前回、学習塾を選ぶ際の条件として、①環境②教員③教材④実績の4つの点に絞った。
今回はいよいよ終盤の③教材と④実績について。
③の教材。独自の教材を作成している塾が多いであろうが、学力に応じた難易度の段階がはっきりあるものが望ましい。大抵の塾や予備校では、難関校に対応するテキストを中堅校以下を目指すクラスにも使用させていて、後者のクラスの生徒達は満足な予習もできなければ授業にもついていけなくなることは必至だ(そのような生徒を業界的には『お客さん』または『雑魚』と呼ぶらしい)。能力別にテキストが用意されていることは一つの条件とも言える。
授業が良くても伸びない子!?そして気になる「実績」のこと!
また、小中学生対象の塾では自宅学習用の問題または別冊の問題集がある方がよい。授業が良くても生徒に演習をさせないようでは学力は伸ばせない。週に1回や2回の授業を受けるだけで学力が付くのであれば何の苦労もない。自宅学習のフォローアップシステムを持っていることも選ぶポイントである。そして、見落とし勝ちなのがノートの取り方である。英・国・数の主要教科は特に、ノートの取り方(結局は答案の作り方に繋がる)を細かく指導できている塾は少ない。勉強をしていても伸びないのはノートの取り方に工夫をするだけで改善される場合もあるのだ。
最後に④の実績。生徒にとっても家庭にとっても気になるところだ。ただし、これは実績の数字の読み取り方が難しい。まず、その塾・予備校に本当に通年で通っていた生徒の実績かどうかがわかりにくい。例えば模試を受けただけのいわゆる模試生、講習を受講しただけの講習生、単発の科目だけ受講していた単科生、もっともひどい場合は相談に来ただけの生徒を本科生として実績に計上してしまう場合もある。さらに、1年で受からなかった場合、分母に入れず、数年後に受かってからその年だけ在籍していたかのように扱い、3年間、または5年間での実績を出すなど、あざとい方法で合格実績を公表する塾・予備校が存在するので注意が必要だ。単年度で氏名またはイニシャルと高校名と本科生の在籍数を公表していることが条件となろう。大手の場合は合格率よりもコースまたはクラスごとの合格者の総数、在籍している高校の人数などが参考になる。
塾を選ぶ時、ファースト・コンタクトの電話での応対から、通塾ルート、周辺環境、経営方針、指導方針、講師、テキストなど、見学に行く際に気を付けるべき項目を事前に用意し、知人が関係しているのなら情報を得ておくこと。ただしネットの情報は、業界関係者の書き込みなどあり信用しない方がよい。
以上全ての条件を満たす塾・予備校など存在しないのであろうが、一般論として参考になれば幸いである。
筆者紹介
七沢英文(ななさわ・ひでふみ)
中央大学法学部卒 塾講師、家庭教師などを経験。
1997年より医学部受験専門予備校YMS講師、現在YMS取締役兼同機関誌「Lattice」編集長。
NPO法人「ジャパンハート」理事。
趣味:オートバイ、車、写真、映画鑑賞、麻雀、料理、旅行など (しかし、現在まったくできない状況、泣!)
※記事提供元:女性医局『七沢塾~カリスマ講師直伝連載コラム~』「学習塾を選ぶための条件パートⅢ」 (コラムの閲覧には会員登録が必要)