濃沼信夫・東北大教授(医療管理学)が10月29日、京都で開かれた日本癌治療学会学術集会において、国内のがん患者が治療関連の費用として1年間に一人当たり平均100万円以上(償還額などを除くと40万円程度)を負担しているという調査結果を発表した。
調査は2004年から2009年にかけて行われ、がん治療を受ける患者約6600人(平均63歳)から、治療関連の支出額をリサーチした。調査の結果、一人当たりの負担額は年101万円であることが分かった。高額療養費制度や民間医療保険などによる償還・給付額およそ63万円をマイナスすると、およそ40万円の出費であることがわかる。さらに約3%の患者が、経済的理由から治療内容の変更もしくは治療自体を断念していたことも明らかになっている。
濃沼教授は、「長期間、高額の費用を負担しているがん患者は多い。経済的な理由から治療を変更または断念することがないよう、医療制度を抜本的に改革する必要がある」と述べた。