【医学部進学のために中高一貫校は有利なのか? PartⅡ】
医師として求められる人格形成には公立校が有利?
私立の中高一貫校は教育理念がしっかりしており、長期にわたり生徒を指導できるので、うまくはまれば色々な面で有利である。しかし、将来医師になることが目標であるなら、なるべく雑多な生徒が集まる公立の中学・高校に通っている方が実社会の環境に即応しやすく、人間関係をスムーズに運ぶ能力が養えるという考え方もある。将来相手にする患者は社会の様々な立場や職種、階層の人たちだ。経済的にも教養的にも色々な価値観に対応できなければならない。そのためにも若いうちから順応性を身に付けておく必要がある。もちろん、いじめやモンスター・ペアレントと遭遇する確率も高いだろうが、問題はいつそのようなことに曝されるかである。いずれ対応の仕方を学ばなければならないのであれば早いうちに順応させた方がよいという考え方も理に適っている(?)。
公立一貫校の人気過熱ぶりを探る!
近年、公立の中高一貫校が台頭してきたが、学費の安さと、昔の伝統校に多いこともあって人気は高い。春に東京フォーラムで行われた「進学ナビ」のイベントでも公立中高一貫校のブースは一日中人だかりが途絶えなかった(因みに私立での人気は海城が圧倒的で、教頭が自ら個別相談に対応していた)。いずれにしても、学校選びは設立の理念、沿革、教育方針、校風、実績など多くの情報を集めて行うべきではあるが、通う子どもの性格、通学のルートなども考慮したい。説明会に参加して校長や教員さらには、在校生のナマの声を聞いたり、ネットでの評判(掲示板などは誹謗・中傷のオンパレードなので見るに堪えないだろう)も、実際に個別相談会などで直接教員に尋ねてみるのもよかろう。
筆者紹介
七沢英文(ななさわ・ひでふみ)
中央大学法学部卒 塾講師、家庭教師などを経験。
1997年より医学部受験専門予備校YMS講師、現在YMS取締役兼同機関誌「Lattice」編集長。
NPO法人「ジャパンハート」理事。
趣味:オートバイ、車、写真、映画鑑賞、麻雀、料理、旅行など (しかし、現在まったくできない状況、泣!)
※記事掲載元:「医学部進学のために中高一貫校は有利なのか? PartⅡ」(閲覧には会員登録が必要です)