皮膚の保護機能向上でアトピーが改善する化学物を発見したと、京都大の椛島(かばしま)健治氏らが発表した。
(参照:日本臨床皮膚科医会が「第30回日本臨床皮膚科医会総会」開催を発表)
外部から体を保護する皮膚のバリア機能を高めることにより、アトピー性皮膚炎の症状を改善する化合物が発見された。この研究結果は、9月17日のアメリカ米アレルギー専門誌電子版に論文が掲載された。現在、日本国内に約40万人の患者がいるとされているアトピー性皮膚炎。現在の治療では、免疫反応を抑えるステロイド剤などが使用されている。しかし、感染症にかかりやすくなるなど副作用の問題があり、ステロイド剤治療に積極的でない患者が多い。
読売新聞によると、椛島氏らはアトピー性皮膚炎の患者の皮膚で、水分や強度を保つたんぱく質「フィラグリン」が減っていることに着目。約1000種類の化合物を調べ、フィラグリンを数倍に増やす効果がある「JTC801」という化合物を発見。アトピー性皮膚炎のマウスに飲ました結果、4~6週でほぼ回復し、副作用はなかった。10年後をめどに臨床試験の実施を目指す考えであると語った。