『医学部合格のために』― 他是不吾 更待何時
これから新たに受験学年を迎える生徒(特に浪人生)に提案しているアドバイスをまとめてある。参考にされたい。
前回に引き続き第4項目から紹介する。
4.健康管理
a)食事
・朝食を必ず摂る。これは文科省の200万人のデータで、朝食を摂っている学童の方が学力テストの点数が高いとのこと(因果関係に異論はあるところ)。睡眠から覚めた朝の体内の血糖値は低く、アドレナリンが分泌される。この時交感神経系が優位になり、昼食を摂るまでの間、断続的に攻撃性が高まり、イライラが起こりやすくなり、たびたびキレる。これでは学習効果が上がりにくい、と理論的に説明がつく。そしてバナナを勧める。バナナは脳に必要なブドウ糖を効率よく補給する高機能食品。さらに、やる気ホルモンとも言えるセレトニン誘導物質が含まれている。
・ファーストフード、コンビニ食を極力避ける。一人暮らしに不足がちなカルシウムは神経伝達にも関与しているので、牛乳やヨーグルト、小魚などで摂取を意識する。個食もできる限り避けたい。
・夕食には納豆を勧める。高タンパク低脂肪で、健康にいいのはもちろん、大豆に含まれるレシチンが神経細胞を活性化させるため、自律神経失調症、不眠症、神経衰弱、精力減退などを防ぐと共にこれらを回復させる。
b)睡眠
・健康な脳は十分な睡眠を必要とする。特に、難しい問題を解くとき、大量にものを覚えるとき、脳が疲れていては対応できない。昔、「4当5落」(4時間睡眠なら受かるが5時間寝ているヤツは落ちる)と言われたが、それは一流大学(医学部も含まれる)受験には当てはまらない。(指導者が中年を超えている場合、睡眠時間が少なくても生活に支障がでなくなっているので、若者に押し付けていることが多い。) むしろ起きている時間をいかに有効に使うかを意識すべき。
c)運動
・意外に軽視されているが、うまく活用することで学習効果は飛躍的に向上する。机に向かっている時間が長いと必然的に血行不良が起こり、肩こり、腰痛、頭痛などの症状が出やすくなるし、少なくとも集中力が減退し、眠気に襲われる。
・一定時間毎に軽い体操やストレッチをすることが望ましい。個人的には筋トレが効果的だと考えている。例えば大腿筋は第2の心臓とも言われるほど血液容量があるので、動かすと眠気は一時的ではあるが解消されるし、何よりも筋トレはストイックになれる。
・ケジメがきちんと付けられるのであれば定期的にスポーツ(バスケットボール、フットサル等)に参加するのもストレス解消になる。
・運動ではないが、学習する際の椅子の代わりにバランスボールを利用するという方法もある。スイスの小学校ではバランスボールを椅子代わりに使用することで生徒の集中力が飛躍的に向上し、学習効果にも良い影響が顕著であること、さらに姿勢が良くなるといった報告がなされている。
七沢英文(ななさわ・ひでふみ)
中央大学法学部卒 塾講師、家庭教師などを経験。
1997年より医学部受験専門予備校YMS講師、現在YMS取締役兼同機関誌「Lattice」編集長。
NPO法人「ジャパンハート」理事。
趣味:オートバイ、車、写真、映画鑑賞、麻雀、料理、旅行など (しかし、現在まったくできない状況、泣!)
※記事掲載元:七沢塾~カリスマ講師直伝連載コラム~「医学部合格のために―他是不吾 更待何時 第4項目」(閲覧には会員登録が必要です)