独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は7日、NEDOの「産業技術実用化開発助成事業」の支援を受けたネクスト21、東京大学、理化学研究所などの研究チームが開発した3Dプリンターで人工骨を成形するカスタムメイド人工骨の医薬品医療機器総合機構(PMDA)への申請が完了したことを発表した。審査には10ヶ月程度かかるとしており、実用化は2015年を予定している。
(参照:京都大学 3Dで次世代型ハイブリッド手術を公開!?)
Photo:The Skeleton By Ayanami_No03
日本では先天的骨欠損、後天的骨変形、がんなどの腫瘍摘出後や外傷による骨欠損で必要となる骨は患者自身の足や腰から移植していた。しかし、正確な成形が難しいことや長時間におよぶ手術により合併症のリスク、さらに従来のカスタムメイド人工骨は骨との癒着が難しいという問題があった。今回開発されたカスタムメイド人工骨は、成型方法、原材料、硬化処理方法が今までと異なる。3Dプリンターで形成することにより0.1mm単位の精密性をもった成形が可能となった。さらに、従来では熱処理で焼結していた人工骨だが、今回の方法では熱処理は不要となり自骨への癒合も早い。
医薬品医療機器総合機構(PMDA)への申請は、NEDO「産業技術実用化開発費助成金事業」で前臨床試験を実施し、NEDO事業終了後に研究チームは独立行政法人医療基盤研究所(NIBIO)の支援により臨床試験を通してヒトでの有効性と安全性を確認を受け申請を行った。ネクスト21は、薬事承認取得後に国内でのカスタムメイド人工骨の普及やアジア市場への輸出も計画をしている。