脂分やコレステロール、噛みにくさや飲み込みにくさなどを懸念し肉食を敬遠しがちな高齢者。さらに食べる量が減ることで栄養失調などの問題を抱えるケースも少なくない。専門家の見解によると、高齢者にこそ肉類の積極的な摂取が必要とされている。
(参照:高齢者の「食べる力」は取り戻せる NPOらが全国大会を開催)
Photo:beef, with fish-fragnant eggplants and spicy cucumber salad By Paul Keller
東京都新宿区にある団地「戸山ハイツ」には多くの高齢者が住んでおり、団地の一室にはNPO法人が運営する「暮らしの保健室」がある。毎週木曜日に高齢者が集まり、大妻女子大家政学部教授の川口美喜子さんが調理した昼食を食べる交流の場となっている。肉なら食べられる量が減っても少ない量でも栄養素が効率よく摂取できるため、川口さんが作る献立には肉類が積極的に使用されている。
1日に必要とされているたんぱく質は男性なら60グラム、女性なら50グラム。卵なら1個に約6gグラム、100グラムの豚ロース肉一枚には20グラム程と肉類にはたんぱく質が多く含まれている。肉の硬さが気になる場合は、塩麹につけ込むと柔らかくなり料理への応用も広がってくる。厚生労働省が昨年発表した「健康日本21(第二次)」では、動物性タンパク質を摂る、魚と肉は同じ割合で摂取するといった指針が盛り込まれるなど、肉食を推奨する取り組みもなされている。