東京大学、京都大学、慶應大学や産婦人科医で組織された研究チーム「日本子宮移植プロジェクトチーム」が子宮移植についての指針を公表。手術によるリスクや子どもへの影響、倫理的な問題が議論の的となっている。
(参照:子宮手術装置に多くの種類のがんを拡散させるリスク 使用の是非はいかに)
Photo:Womb By Aran.
先月17日、「日本子宮移植プロジェクトチーム」が子宮移植についての指針を作成し公表した。移植は生まれつき子宮がなかったり子宮頸がんなどにより子宮を摘出した女性を対象としている。指針は10項目あり、提供者は心停止した人や脳死者や母親など親族も想定し、自発的な意思決定に基づく提供とすることや、営利目的による斡旋などを行わないことなどが推奨されている。
子どもを産みたい女性にとっては新たな選択肢のひとつとなるが、問題も山積みである。海外はすでに子宮移植が行われており、これまでに11人に移植し7例の成功例の報告がある。しかし、2000年にサウジアラビアで行われた移植では移植後に子宮が壊死したため再摘出された。生まれてくる子どもへの影響も不明確な部分が多く、患者本人への負担も大きい。さらに、倫理的な問題としては命にかかわる臓器ではない移植について妥当なのか議論がなされている。