12日、理化学研究所や先端医療センター病院などの研究チームはiPS細胞(人工多能性幹細胞)による手術を行った。手術は「加齢黄斑変性」という目の病気の女性に、iPS細胞から作った目の網膜の組織を移植するというもの。これを受け、塩崎厚生労働大臣はiPS細胞手術の支援を強化していく意向であることを示している。
(参照:「再生医療で患者を救う」公開無料フォーラム開催 山中伸弥氏の登壇も)
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手術は12日に行われ、翌日の記者会見で先端医療センター病院の執刀医である栗本康夫統括部長は、女性患者の術後は順調であると話した。女性患者は「見え方が明るくなった」と話しているという。iPS細胞を移植する手術は世界初となるが、今回可能となった理由として、患者自身の皮膚からiPS細胞を作ったこと、移植細胞が少量であり、眼球のため術後に経過観察がしやすいということが挙げられる。
今年4月には京都大学と日産化学工業が共同でiPS細胞の培養法を開発。これにより大量に培養することができ、コストも従来の10分の1に抑えられるという。実用化は5年後を目標としており、今後さらなるiPS細胞の普及が期待されている。