アルコールは昔から「百薬の長」と言われてきたが、近年の様々な研究から、適度なアルコールは心筋梗塞を予防すると医学的にも証明されている。
(参照:女性のアルコール依存症 10年間で2倍近く急増)
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米スタンフォード大学の研究チームが米医学誌サイエンス・トランスレーショナル・メディシン電子版にて発表した論文によると、iPS細胞を使った実験にて、お酒に弱い体質の遺伝子型を持つ人は心筋梗塞になったときに心臓へのダメージが大きくなりやすいということがわかった。お酒への強さはアセトアルデヒドを分解する酵素をつくる遺伝子の型によって違い、この遺伝子が変異すると分解する酵素を作れずにアルコールに弱くなる。この酵素は、心筋梗塞になったときに活性酸素の解毒にも関わってくるため、アルコールに弱い人は心筋梗塞が重症化する傾向があるという。
さらに、適度なアルコール摂取は、アルコールを全く摂取しないときと比べるとHDLコレステロール(善玉コレステロール)が増え、血液が血管の中で詰まりにくくなるなどの効果が得られ、循環器病による死亡率、全死亡率や血管の動脈硬化の程度も軽いという研究結果が多数報告されている。過度なアルコール摂取は体に悪影響となるが、一概に飲酒が害ということはなく、医学的にも長所が認められている。